エリック・ロメール監督が、対照的な2人の少女レネットとミラベルが体験する不思議な出来事を、4つのエピソードでつづった短編オムニバス。自転車のパンクをきっかけに知り合った2人が、夜明け前に訪れる無音の瞬間を体験するべく奮闘する第1話「青い時間」、パリで同居生活をはじめた2人と奇妙なカフェ店員とのやり取りを描いた第2話「カフェのボーイ」、犯罪や良心について対話を繰り広げる第3話「物乞い
窃盗常習犯
女詐欺師」、家賃を稼ぐためレネットが描いた絵を売ろうと奔走する第4話「絵の売買」で構成。ロメール監督はレネット役のジョエル・ミケルの体験談に着想を得て本作を企画し、少人数のスタッフと16ミリフィルムで撮影を敢行した。
レネットとミラベル 四つの冒険評論(1)
2本目「カフェの店員」、3本目「物乞い 窃盗常習犯 女詐欺師」はレネットとミラベルの正義感や金銭的な価値観についての議論となるのですが、これがまた考えが対照的だったり、信念に矛盾が見つかったりと興味深いもの。ちょっとしたコメディ要素、貧困者への救済といった現代的テーマも含まれていた。
4本目は、金には困ってなかった感じのレネットだったが、遺産相続が上手くいってなくて家賃を滞納しそうになる。そこで好きな絵を売ることにするエピソード。画商のいい加減さや、彼女たちの作戦が功を奏した面白さが光っていた。
日常に存するちょっとしたやりとりも、皮肉めいたものや議論することによって考えも少し変わるといった、固定観念を揺さぶられる思いにさせられた。重いテーマじゃないので、何気なく鑑賞する分には心地よい映画。