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エリザベート 1878評論(2)
「同じでいること」に相当努力が必要となってくるお年頃です。
たとえば暴飲暴食をして体重が増えても、1〜2日節制すれば元に戻っていた筈が…
暴飲暴食をしなくても体重が増えていくのが40才。
確実に代謝が悪くなっているので、今までと同じカロリーを摂っていてはダメ。
つまり“同じ”を保つ為には、これまでと同じことをしていてはダメになってくるお年頃なのです。
見られることが商売ではない私なんかは、抗わずに老いを受け入れておりますが。暴飲暴食最高!笑
エリザベートのように、国の広告塔として美しさを外交に利用している立場としては、美しくなくなる=存在価値が無くなるという恐ろしいことに…
は、なりません!
我らがエリザベート1878は、ムカついてます。
中指立ててファッキューです。
“美しさよ永遠なれ”なんじゃそりゃ?
美しさを褒めるしか能のない奴らとは話す価値ナシ!
でも、老いたと思われるのも癪にさわるし、政治の話しができないと思われているのにも腹が立つ。
みんなおべっか使いの嘘つきばかりで、自分の美しさがまだ保てているのかどうかすらわからなくなるから、本心しか言えない相手を探すしかない。
物語のキーとなる挿入歌が、いちいちかっこ良いです!
言葉にしないエリザベートの苛立ちや憤りが伝わるうえに、伏線にもなっています。
伏線と言えば…試写会に参加された方のなかには、舞台ミュージカルのエリザベートのファンも多いようでしたが、私にとってのエリザベートはビスコンティ監督の『ルードウィヒ 神々の黄昏』なのです!
騎乗の姿も麗しい。
あの映画の中では、ルードウィヒの一番の理解者であり同類。唯一彼が渇望した存在として描かれていましたが、本作はそのイメージをエリザベート側から更に強く裏づけてくれました。
少ないセリフのやり取りですが、濃厚で痺れます。
ビッキー・クリープスが流石の演技で、国王との心のすれ違いが本当に辛い。
双方の気持ちが理解できる丁寧な心理描写に心が痛かったです。
レモンティーとウィンナコーヒー(?)も対照的。
お衣装に調度類に建物にうっとりして、見どころ満載。
でも一番の見どころは、全てを自分でコントロールして完全なる自由を手に入れた瞬間の清々しさ!!
外では白鳥。内では虎。
女性に外見しか求めない奴らへの復讐。
見事に欺いた後には、誰にも手の届かないところで得意げに語る彼女がいる。
40歳が当時の平民女性の平均寿命だったのか。拒食で過度な運動をしつつ旅をして60歳で亡くなったが、エリザベートがこの映画を見たら喜んだと思う。大好きなケーキを食べ、タバコを人前で自由に吸って、失神する演技をした、そんな笑顔の彼女を見て幸せになった。
着物の紐や帯はボタンやファスナーの役割だから締めつけない。コルセットはギシギシ締めつける。自分では着用できず、他人の手を借りて自分自身を苦しくする。今もある見えないコルセットをまず見えるようにしてそして不要なものにしなくては。