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ライムライト評論(15)
どた靴、山高帽、小さすぎるモーニング、ステッキ、ちょび髭、ピエロ風のメイク
このイメージがチャプリンです
そしてサイレント映画
その映画を観たいとお思いなら、本作ではありません
街の灯とかモダンタイムスといった作品をまずご覧になるべきです
ユナイテッド・アーティスツ時代の1936年のモダンタイムスまでがお勧めです
本作はその後でご覧になるべき作品と思います
おそらく本作はチャプリンの惜別の挨拶です
完全なトーキーです
モダンタイムスのようなトーキーなのにサイレントのふりはしていません
チャプリンも普通に話しますし、普通の服を着ていたり、普通の顔をさらします
カメラワークも昔風のそれではなく、1952年当時なりの現代とそう変わらないものです
往年の人気喜劇俳優としての役でピエロ姿で沢山登場しますが、冒頭に述べたような、これぞチャプリンと言うものではありません
テリーの公演の高い芸術性のあるシーンはとてもチャプリン作品を観ているとは思えないほどのものです
とは言え、クライマックスの一流劇場での演芸興業シーンは流石の芸を見せてくれます
超有名なテーマ曲を聴くだけでも値打ちがあります
落ちぶれたコメディアン(チャールズ・チャップリン)はいつも酔いつぶれていたが、アパートで自殺未遂の美女(クレア・ブルーム)を助けてから人生が再び動き始める。
喜劇役者の悲哀が強烈で、悲しいけど笑える作品。
チャップリンの実質的な白鳥の歌。ハリウッドを追われるチャップリンの、アメリカ映画に捧げる遺言にも取れる、巨星の個人的心境が反映された作品。サイレント映画の「サーカス」のときは、離婚訴訟のトラブルでの孤軍奮闘する自虐的な笑いを印象付けたが、還暦を過ぎたチャップリンは、芸人としての出発点に帰り、世界に一つだけの至芸を見せてくれます。バスター・キートンとの共演舞台は、掛け替えのない映像遺産と云えましょう。
社会批評映画「モダンタイムス」「独裁者」「殺人狂時代」を辿り、再び以前の人間主体の映画に戻って、自身の老いを自覚した人生ドラマを描く。映像技法も話法も同時代の映画と比較して古めかしいが、そこに喜劇俳優・監督チャップリンの変わらぬ誇りと威厳を感じます。
同じく還暦を過ぎたヴィスコンティが遺した「ベニスに死す」との共通項も少なからずあって興味深い。初老の芸術家が若い人と接触し、刺激を受けて若返るところが似ている。
チャップリンの人生観というか人生哲学がメチャメチャ詰まった作品でした。
人生において大事な言葉が沢山チャップリン扮するカルヴェロから語られます。自殺未遂の女の子を励ます形で大事な事を伝える。若者を老人が導き、また老人も最後に一旗上げる。一歩間違えれば説教臭くなる言葉を自然に作品に染み込ませている。この脚本力が素晴らしい。やっぱり天才ですな、チャップリンって。
そして公開当時は既に63歳だったというのに体の動きが半端ないです。最後の舞台はもちろんの事、途中途中のシーンでもちゃんとチャップリンの動きで老いを全く感じさせない。チャップリンの私生活は詳しく知らないのですが、日頃からワークアウトしてないとあの年齢であの動きはできないのではないでしょうか?それとももう体に染み付いてて自然にできるようになってたのかな?
コメディアンって人を笑わせる為に人の感情の動きをスゴく考えてるんじゃないかなっと思うんですよね。だからコメディアンの作ったドラマはグッとくる物が多い。本作は天才コメディアン、チャーリー・チャップリンの晩年の傑作だったと思います。
この映画は名言がたくさんあった。よく知られた有名な名言もあるけど、バレリーナを励ますときとか、結構深い名言をよく言っていた。
「生きる意味なんていらない」とか「瞬間を生きろ」とかとても勇気づけられるし、安心する名言がたくさん。
そして1番印象的だったのが「客は個人としてはいい人達だが、集団になると頭のない怪物で、どの方向にも向けられる」という台詞。政治家や広告代理店などから、ぼくたち大衆はしばしば愚かな民としてみられている。それは一体どういうことで、何が問題で、本質は何なのかしばらく考えていたので、この台詞を聞いたとき、とても心に響いた。
とても哲学的で重たいテーマを扱っているにも関わらず十分に笑えて、あれだけ楽しく観られるのだから、チャップリンは本当に天才だと思った。チャップリンが道を歩くだけでそこに世界ができるので、彼はもう芸術家でもあると思う。