男と女(1966)劇情

当時無名だったフランスのクロード・ルルーシュ監督が自ら資金を調達して製作した恋愛ドラマ。主演はアヌーク・エーメとジャン=ルイ・トランティニャン。スタントマンの夫と死別した脚本家アンヌと、妻に自殺されたカーレーサーのジャン・ルイによる大人の恋愛がフランシス・レイの音楽と美しい映像にのせてつづられる。1966年の第19回カンヌ国際映画祭ではパルムドールを、同年度のアカデミー賞では外国語映画賞を受賞した。2016年、製作50周年を記念してデジタルリマスター版でリバイバル公開。

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男と女(1966)評論(20)

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雰囲気に満ちた作品である。随分と大胆にセリフをカット。音楽と映像だけで見せるところがクールで惹かれる。30年前に見たときは、もっとクルクル回っていたように感じた。が、その後マネされまくったせいか回転数が少ない印象になってしまった。映画ってのは本当は脚本を楽しむもんじゃないってことが良く伝わって来る良作です。フランス語だし。英語と感じが全然違う。この映画はフランス語じゃなかったら成功してなかったでしょう。
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娘を持つ母親(アヌーク・エーメ)と息子を持つ父親(ジャン=ルイ・トランティニャン)、それぞれ子どもと休日を過ごし寄宿舎に送った後に出会ってしまう。この出会いのタイミングが自然で、すごくいい。辛い過去と子どもを持つ男女の恋愛の始まりがどうなるのか引き込まれました。

50年前の作品とは思えない程、今を感じるファッション、風景、ストーリー。
モノクロとカラーの使い分け、音楽、
シンプルなムートンコートをこんなにも大人っぽく素敵に着こなせるアヌーク・エーメの魅力。大好きな作品です。
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ネタバレ! クリックして本文を読む
デジタルリマスター版を鑑賞しました。初めて見ます。

同じところに子供を預けていて偶然出会った男女が、お互いに悩みながらも愛を育んで行くロマンス、とこれだけで説明しちゃうと元も子もないけど、やはり今に残る名作で、恋愛をめぐる気持ちの機微が精緻に表現されていた。しかもお洒落で綺麗。

女はスタントマンの夫を失った悲しみを、レーサーの新しい彼で埋めようとするけど、抱かれれば抱かれるほど前の夫の影がチラつく。前の夫は彼女にとっての青春であり、少女としての自分も全て受け止めてくれていた。しかし子供もいる身の今、自分はある意味で割り切った大人の恋愛を強いられなければならなくなる自分に葛藤する彼女は、結局セックスも半ばに帰ってしまう。こうした彼女の心の動きは、観客は映像を通じて説明されるけれど、男にとっては何の説明もなく帰らされてしまうので、たまったものではない。夜中ずっと寝ずに運転して会いに行ってるのにそれはないと嘆くのも当然だろう。

自分も男なので、見てるときは男側の視点で憤慨してたけど、改めて考えると男の方もかなり強引な行動をとってる。そもそも「愛してる」っていう電報を受け取って喜ぶのはわかるけど、じゃあすぐにでも会いたいからすぐに会うのは、彼女の事情とかそういうのガン無視で自分勝手でしかない。前の夫はどんなときでもニコニコで子供のようにじゃれ合ってくれるけれど、この男はどっか体を求めてる感が否めない。それは女だって悩む要素は多分にあるのである。

最終的に人間性を見つめあった両者は駅で改めて出会い、愛を確認し合う。ラストまで素敵なカタチで締めくくられるけど、ただのメロドラマで終わらないのは、全ての人が内包してる男性的部分、女性的部分を芯をくって表現されているからだろう。ここで描かれる恋愛はヘテロだけれど、その本質は形式にとらわれない。誰だってこの女のように勝手にストーリーを進めて説明もなく自分だけの恋愛を進行させようとするし、この男のようにセクシャルに相手の気持ちも考えずに求めてしまう。

この映画を見て素敵だなあと思うのも、こんなやつクズだって怒るのも正しい受け取り方だと思う。そういう自分勝手なところが、より深い関係を生んでいることを映画は示している。裾野がとても広い面白い作品でした。

あとは同時上映の「ランデブー」もおすすめでした。僕らがおもう静かなパリの街並みを爆音で疾走する爽快感と興奮。車が好きではない自分も、運転する気持ち良さと、暴走してしまう過激さを共有できてしまう危ない作品でした。
Nsgphosimkx
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フランシス・レイの音楽が甘美な香りを伴って耳に心地よく響くのですが、音楽賞を何も取ってないのが意外といえば意外。そして音楽だけではなく映像がモノトーンからカラーに変化する様子など、斬新で目にも優しい。

アンヌの夫のスタントシーンなどはアクション映画としても通用するくらい派手なのですが、この回想シーンがカラー映像だとは彼女の心の中にいつまでも残っているからなのだろう。一方のジャン=ルイは白黒映像が多い。ル・マン、モンテカルロ・ラリーなどに出場する有名なレーサーだったのだ。

そのモンテカルロ・ラりーが終わったら彼女に逢いに行こうと心に決めたジャン=ルイ。アンヌとはベッドインするものの、彼女は夫との記憶が甦り、セックスどころではなかった。ずっと悲しい表情なので、彼女を駅まで送りに行くことに・・・ ジャン=ルイは車、アンヌは電車。2人のカットが交互に切り替わり、感情は最高潮に。

結局、このモノクロとカラーの変化が常に緊張感を与えてくれて、心情豊かな映画となった。エンディングもgood。
Geotelnsbw
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映画史に於いて"構図"の完璧さで本作は他に類を見ない。海辺のボードウォークをゆっくりとカメラが前進する冒頭のタイトルロールから、愛し合う男女が車のシートに隣り合わせて座り、前方、つまりカメラ側を見ながら語り合うシーン、ベッドの両サイドに少し離れて座るスリリングなシーン、うっすらとぼやけたパリの町並みを背景に佇む女、等々、監督のクロード・ルルーシュはフレーム内で表現し得るすべての基本構図を作品に投入している。それは、当時、否、今も斬新な映像手法。以来、遂にこれを超える作品を発表することはなかったルルーシュだが、彼が映画史に刻んだ足跡は永遠に色褪せない。

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