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標的の島 風(かじ)かたか評論(4)
憲法記念日を前に。
『標的の島 風かたか』を観て来ました。
「雨風ぬ吹ちん渡るくぬ浮世
風かたかなとてぃ産子 花咲かさ」
この歌詞を受けて稲嶺名護市長が、沖縄の米軍属による女性殺害事件の追悼集会で、「私たちは今回も風かたかにもなれなかった」と涙ながらに語りました。
「風かたか」とは、風よけ、防波堤のことです。
映画では一連の沖縄に対する国策を前に、県民の一人ひとりが風かたかになると信じて、行動を起こす姿がリアルに描かれています。
87歳の女性は、毎日ゲートに立ちながら、なぜ、ぶれないのかと尋ねられると、「私は激戦の中を逃げまどった。私がぶれたら死んだ人に申し訳ない。だって死体が浮いて血が混じった水を飲んで生き延びたんだもの」と語ります。
「てぃんさぐぬ花」(ほうせんかの花のこと)の歌が好きだという女性は、歌詞にある「親ぬゆしぐとぅや肝に染みり」(親の言うことは心に染みなさい)という言葉を受け、「戦禍の中で苦しんだ先祖がいる。私たちは小さい頃からその話を聴いて心の底に平和を求める血が流れている」と語ります。
病床にありながら、ゲートに座り込むリーダーの山城さん(5ヶ月、器物損傷の罪で拘留された人)の運動家としての姿勢、防衛省の若い職員の不誠実な対応に沖縄が戦争でどれだけの悲劇にさらされたかを言って聞かせる照屋議員の言葉の重み、宮古島では賛否で二分される住民の悲劇、座り込みに対する公権力の暴挙と日本人がしっかりと軸に持っていなければならない覚悟のようなものを改めて確認した映画でした。
そしてゲートの座り込みを決めた若者が、自分は座り込んだからと言って何も変わらないと思っていたが、そこで座り込みをしている活動家に、「あなたはなぜ座り込みをしているのか」と尋ねたら「この時代、この時に、戦争に反対した平和を切望した人間がいたということが歴史に刻まれます」との返答があり、自分は座り込むことを決めたと語っていました。
明日の憲法記念日を前に、共謀罪成立、憲法改正を前に、私たちはどう行動していくべきなのか。
何が日本にとって本当の風かたかになるのか、しっかりと考えて行動を起こしたいと感じた一日でした。
唖然として言葉にならなかった。今日本でこんなことが起きている、起きようとしているのか。
ただただ、驚いた。
しかも行動している人の理由は、自分のためではなく、誰かのため。ある人は先の戦争で犠牲になった人のため、ある人はこれから生きていく子供、孫のため。
サッカーの日本代表を応援するフレーズと一緒だけど、重みが全く違う、
「負けられない闘い」なんだと思う。
沖縄では戦争は終わっていない。
この事実に始めて気づかされた。
一方、住民説明会で、自衛隊を待っていると賛成している人もいることにも驚いた。善悪は絶対的なものではないんだと。
自分は沖縄に住んでいないので、自衛隊基地問題の賛否を言うべきではないと思う。
ただ、少し遠いが、同じ日本国内で、今大変なことが起こっていて、闘っている人達がいることは覚えていて、少し、沖縄の報道を気にしてみたい。
知ることから始めたい。
沖縄の海が中国と米軍の最前線となり、日本がアメリカの代わりに土地と海、人と基地を提供し戦わされる。なぜ? 恐怖を煽っているとしか思えない。しかし、自衛隊やっときてくれたと安堵している人もいる。
基地あるところが標的になる。
軍隊のいるところが戦場になる。
軍隊は軍隊しか守らない。
沖縄にもどこにも軍隊はいらない。
心の中に平和を築くことが一番大切。
死者の声を聞きながら。
友人も2回観たそうですが、わたしももう一度じっくり観たいです。
三上智恵監督の心意気と愛、権力に立ち向かう勇気と作品としての素晴しさに感服です!
予告編などからもわかると思いますが、大々的に宣伝しにくい内容も含め、私たち、こどもたち、動物たち…が、これからハッピーに生きるために、多くの人がまだ気づいていない重大なことを三上監督ならではの視点と貴重な映像の数々、島の暮らしや島の若者、伝統文化とともに映し出して伝えてくれています。終始目が離せませんでした。
今まさに観る価値のあるノンフィクション映像。
あまり関心のなかったママさんも観た後で「涙がとまりませんでした。沖縄に行かなきゃと思いました」と言っていました。
自衛隊や基地の話で、心が痛みそうな映画…という先入観を取り払って、こどもたちに幸せになってほしいと願う方たちにぜひ観てほしいです。