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8日で死んだ怪獣の12日の物語 劇場版評論(13)
カプセル怪獣というモチーフの扱い方は上手くないし、着地は安易だし、メッセージは直接的すぎる。
だけどやっぱり岩井俊二だなと思わせられるのは何故なのか…
なんか映像の加工と音楽の使い方で職人的にノスタルジックな雰囲気を作っているだけなんじゃないかという疑惑すら涌いてきた…
多様な映画文化を支えてきたミニシアターを応援すべく、本作は売上の一部をミニシアター支援に充てる特別興行を予定しているとのこと。コロナ真っ最中に、あまり応援できていなかったので、ちょっと贖罪になった気がしてホッとする。
しかし、感染者数増大の中で、最終回ということもあってか、残念ながら、たった二人での、ほぼ独占鑑賞(250席)! 気持ちはいいけれど、ちと寂しい。
監督、岩井俊二、57歳。俺、60歳。
ウルトラQからウルトラセブンという、円谷プロのウルトラシリーズ初期三部作を、少年時代に経験し、それらに、特に怪獣や星人(宇宙人)にのめり込んだ人たちには、たまらない映画だ。逆に言えば、そうでない人にとっては、何か興味を感じるのだろうか、と少し心配。
映画としては、たいして面白くない。というか、かなり面白くない。
脚本・制作 庵野さん、樋口監督という最高の組み合わせで制作される「シン・ウルトラマン」に早々と出演が決まっていた斎藤さんは、ホントにこのシリーズが好きなんだな、と思うとか。のんさんは、相変わらず可愛いなあ、と感じることくらい。
なぜ、面白くないのか。それは、この映画が、フィクションの顔をしているけれど、実は、映画関係者にとってはノンフィクションだからなのだと思う。
そう、これは、コロナ禍の下で、映画制作どころか、撮影もできず、集まって話すことさえできずにいる、映画関係者が、「俺たちは、そんな状況下でも、映画を作る。できる範囲で、やれることを、やる」と決意し、実行した、(コロナとの)闘いの事実を描いた、ドキュメンタリー映画なのだ。
通常のドキュメンタリー映画であれば、制作の過程を描くが、本作は、観客が、結果、つまり出来上がった作品だけを観て、その制作過程を思い描く。そして、コロナ禍という共通の過酷な状況の下にいるがために、現在進行形で、重苦しさに共感し、「明日からも、頑張ろう」と、ちょっとだけ思える。そんな映画になっている。
実際、コロナ禍の外出制限がピークの頃の、人影まばらな渋谷センター街や電車の駅他の映像は、この状況を克服し、日常が戻って来た後に観たら、懐かしい映像となるだろう。コロナ禍の下での生活を描いた、最初のノンフィクション映画だな。
そういうわけなので、興味のある方や、このコロナ禍の下で無力感やなんとなく圧迫を感じている方は、気が向いたら、観てみてください。この、闘いの記録を。
普通に観たら「なんだ、これ?」映画になっちゃうかもしれないので、お気をつけて。
おまけ
しかし、カプセル怪獣のカプセルが5個とは知らなかった。「三匹登場したけれど、カプセルは4個ある」だと、60年間思い続けていた。
おまけ2
6歳の時に「ペギラとチャンドラーは兄弟なんですか?」に始まる、100個ほどの質問を円谷プロに送ったら、丁寧な回答が、スチール写真(スペシウム光線発射だった)同封の大型封筒で送られてきて、驚き、感動したのが、昨日のことのようだ。現在は中国資本下になった円谷プロだが、一生、ファンでい続けます!
( 帰って来たウルトラマンまでの4作と、ティガ以降の3作限定かな。当たり外れ大きいからなあ)
斎藤工さんがリモートでのんさんや、武井壮さんとの会話がメイン。
映像や音楽は本格的なんだけど、ストーリーが残念だった印象。
そんな中でものんさんはやっぱり凄かった!
ってか可愛いです(笑)
会話はほぼアドリブなんじゃね?って感じで進む展開は面白かった。
怪獣や宇宙人?を語る場面が良い。
ほのぼのさせる見せ方は評価したいところ。
ラストのオチは何だったんだろ( ´∀`)
岩井俊二の作品は、1995年の「Love Letter」から長い付き合いになる。手練手管は分かっているのに、いつもロマンティックな美意識にやられてしまう。映像も音楽も物語もあざといと思う。
好き嫌いとか出来不出来とかは無関係であり、こんなリアルタイムで、自分の中の憧憬と憎悪とが交錯する映画監督は他にいない。唯一絶対の存在である。
「8日で死んだ怪獣の12日の物語」は、今後数多く作られるであろう、新型コロナウイルス感染症の拡大を主題とした映画の先駆けである。当然ながら、ほとんどがリモート撮影で製作されている。
ピアノやヴァイオリンやチェロのソナタが流れる中、緊急事態宣言下の渋谷や下北沢の街並みはモノクロで無人で無動作で、まるでエヴァンゲリオンの新東京市のようだ。
それなのに、サブカル色が満載であり、カプセル怪獣の日々の成長が楽しみになる。のんちゃんの不思議ちゃん振りも可愛いし、何より斎藤工の自撮りのリポートが誠実で魅力的。困難な状況下にあっても、肩の力の抜けた愛すべき作品である。克服しよう。