1988年の夏、当時のユーゴスラヴィアで撮影されたが、編集作業が完成する前に内乱でフィルムがバラバラになってしまったのを、プロデューサー、アンジェロ・アランジェロヴィッチが、戦時下のバルカン諸国などを5年も捜索した末に、ようやく発見した幻の映画。監督はボジダール・ニコリック。製作はアンジェロ・アランジェロヴィッチ、ボリス・ニチョフ、ドスコ・ミハイロフ。脚本はアンディ・ホートン、ゼリコ・ミヤノヴィック。主演はこれが初主演作となる「セブン・イヤーズ・イン・チベット」のブラッド・ピット。当時の彼は、まだコマーシャル数本と、『ダラス』などのテレビシリーズにいくつかゲスト出演したことがあるだけだった。共演は「今夜はトーク・ハード」のシェリル・ポラック、「ルーカスの初恋メモリー」のガイ・ボイドほか。
リック評論(2)
1998年 7月25日
制作の1988年にアメリアとユーゴスラビアの合作として作られたのが、ユーゴスラビア紛争でフィルムが散逸してしまい、その後何年もかけて復刻に苦心したとある。70年代までは、「ネレトバの戦い」「抵抗の詩」「風雪の太陽」と注目すべきユーゴスラビア映画が日本で公開されていた。その後「アンダーグランド」などのエミール・クストリッツァが活躍していたが、21世紀の今日東ヨーロッパの映画産業はどうなっているのだろう。各国の特徴ある映画が観られなくなって久しい。