アメリカ国家機密リーク事件で逮捕された女性リアリティ・ウィナーのFBI尋問記録を、ほぼリアルタイムで完全再現。ニューヨークの現代演劇界で活躍する新進気鋭の劇作家ティナ・サッターが長編映画初メガホンをとり、裁判で公開された実際の尋問音声記録をもとに、主人公リアリティとFBI捜査官の心理戦を圧倒的な緊張感で描き出す。2017年、アメリカ。買い物から帰宅した25歳のリアリティ・ウィナーは、見知らぬ2人の男性に声をかけられる。彼らはFBI捜査官で、ある事件に関する捜査をしているという。気さくで穏やかな口調で何気ない質問を繰り返す彼らだったが、会話は徐々に不穏な空気を帯びはじめ、リアリティは窮地へと追い込まれていく。「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」のシドニー・スウィーニーが主演を務め、リアリティが直面する状況が緊迫感を増していく様子を繊細かつパワフルに演じた。
リアリティ評論(20)
想像してたのとは違った感じ
嫌いじゃないけど
3に近い3.5
だが、徐々に”貴女が機密を不正に扱った報告がある。心当たりはないですか?”と聞いて行く辺りから、マアマア緊迫感もあり面白くなってくる。
リアリティが疑われたのは、ロシアによる米大統領選への介入にまつわる機密のリークである。
今作は、フライヤーにある通り、実際の尋問の録音を台詞としてそのまま再現した、異色の作品である。-
◆感想
・選挙介入は民主主義の根幹を揺るがす大問題だが、今作ではそこを掘り下げていない。
ー マア、FBIの尋問をそのまま再現した映画だからね。-
・印象的なのは、FBI捜査官の物腰柔らかく、けれど徐々にリアリティの行為の動機の解明に拘る点である。
ー 劇中でも名前が出た、スノーデン。彼女の行為は国家反逆を意図したモノか、政治的な信条に基づくモノなのか、それとも発作的なモノなのか。
それを、慎重に見極めようとするFBI捜査官と、揺さぶりに耐え続けるリアリティとの心理戦。-
<そして、彼女は拘留され、懲役5年を求刑される。
今作は、2019年にオフブロードウェイ、2021年にブロードウェイで上演された舞台劇を映画化した作品だそうであるが、後半の駆け引きはナカナカだったな。>
権力はいつでも不都合なことを覆い隠そうとする。そして、問題点を矮小化するために「個人」に責任を擦り付けるのだ。
リアリティがとった行為は確かに職務規定違反だと思うが、この真実を覆い隠すより、再発防止や危機管理の観点からは公表したほうがいいに決まっていると思うのは庶民感覚か?
権力者は逆に自分たちの失敗や不正を暴かれることに恐怖し庶民から真実を遠ざけようとする。どこの国でも「権力」の行動は同じなのだ。と、いうことを国民は肝に銘じて、常に「権力」を監視する必要があるのだということを強く思う。