ヒマラヤ山脈の標高4800メートルにある実在の村ルナナを舞台に、都会から来た若い教師と村の子どもたちの交流を描いたブータン映画。ミュージシャンを夢見る若い教師ウゲンは、ブータンで最も僻地にあるルナナ村の学校へ赴任するよう言い渡される。1週間以上かけてたどり着いた村には、「勉強したい」と先生の到着を心待ちにする子どもたちがいた。ウゲンは電気もトイレットペーパーもない土地での生活に戸惑いながらも、村の人々と過ごすうちに自分の居場所を見いだしていく。本作が初メガホンとなるブータン出身のパオ・チョニン・ドルジ監督が、村人たちのシンプルながらも尊い暮らしを美しい映像で描き、本当の幸せとは何かを問いかける。
ブータン 山の教室評論(2)
ただ「国民総幸福量(GNH)」を導入し数値化しようとした、その決断と思考が人の心を掴むのだと思う。
そんなブータンの実際の村を舞台に撮影された。歩いて6日間もかかる僻地中の僻地だ。
電気も通ってなく、太陽光発電も安定していない。「KITCHEN」と書かれた、土に穴を掘ったポットン便所があるぐらい。決してお世辞にも恵まれた環境とは言えない。
そういう原始的な暮らしを生理的に受け付けない人も多いだろう。特に衛生的で便利な日本に暮らしている人たちはなおさら。
でもそこには「ない」が「ある」のだ。
インターネットも届いてなくスマホもないから、暮らしにすべての神経を集中できる。流行りの丁寧な暮らしやパーマカルチャーを地で行っている。
それは生きていくために本当に必要なものが鮮明になるということ。
勉強を嫌がる先進国の子どもたちとは裏腹で、生きていくため、夢のために学びたいと目を輝かせるその村の子どもたち。
そこに望まず赴任された新米教師の心の変化で、それらの大切さを改めて痛感させられる。
目をキラキラさせるペン・ザムがかわいい。笑
そして何より景色がきれい。
学校の教材として子どもたちのみならず、大人たちにも観せたい作品。