直木賞作家・重松清のベストセラー小説を、阿部寛と北村匠海の共演で実写映画化。「糸」「護られなかった者たちへ」の瀬々敬久監督がメガホンをとり、幾度途切れても必ずつながる親子の絆を描き出す。昭和37年、瀬戸内海に面した備後市。運送業者のヤスは愛妻の妊娠に嬉しさを隠しきれず、姉貴分のたえ子や幼なじみの照雲に茶化される日々を過ごしていた。幼い頃に両親と離別したヤスにとって、自分の家庭を築くことはこの上ない幸せだった。やがて息子のアキラが誕生し、周囲は「とんびが鷹を生んだ」と騒ぎ立てる。ところがそんな矢先、妻が事故で他界してしまい、父子2人の生活が始まる。親の愛を知らぬまま父になったヤスは仲間たちに支えられながら、不器用にも息子を愛し育て続ける。そしてある日、誰も語ろうとしない母の死の真相を知りたがるアキラに、ヤスは大きな嘘をつく。
とんび評論(16)
ハンカチ取りに帰って良かったです。
普段あんまり泣かないのですが、終始号泣しました。これだけ泣いたのは本当に久々でした。
ドラマを見ていたので話しの内容は知っていましたが、1クールのドラマのポテンシャルを2時間ちょっとの映画でまとめるのは難しいだろうと心配でしたが、ポイントをしっかり抑えて、演技も良かったし、昭和の雰囲気もよく出ていたし、私は大満足でした。
が、しかし、
が、しかしです。
1つだけ気に入らない点を言うと、旭の高校球児時のヅラ坊主頭のヘアスタイルです。私だけかもしれないですが、本当に坊主頭にして欲しいのです。映画はある意味出来る限りの事をやって欲しいのです。こういうのを見ると映画を観る方は映画の世界から一旦現実に戻ってしまうからです。あーこの映画の制作は100%やれる事やらんのかね、全精力をかけて作っていないと思ってしまうのです。
しかし、本当にそれだけでした。
ドラマを見た人も見ていない人も十分泣ける楽しめる作品です。
オススメします。
原作は重松清の同名小説で、先に2度、テレビドラマ化。
小説未読、ドラマ未見での鑑賞です。
終戦から十数年経ち、日本が活気づいていた昭和37年。
瀬戸内海に面した備後市の運送会社で働くヤス(阿部寛)。
幼いころに両親と離別したヤスと、原爆で両親を亡くした妻・美佐子(麻生久美子)のふたり暮らし。
その妻は妊娠中だが、無事、男児を出産、旭(アキラ)と名付けられる。
数年後、美佐子は幼いアキラをかばっての事故で死んでしまう。
アキラは町の人々に育てられ成長するが、事故の真相は伝えられないまま思春期を迎える。
どうしても事故の詳細を知りたかったアキラに、父のヤスが継げたのは、「かあちゃんは、とうちゃんをかばって死んだんだ」という嘘だった・・・
といったところからはじまる物語で、ここまでが前半3分の1ぐらい。
その後は、わだかまりを抱えた父と息子の物語が展開する(長じたアキラを演じるのは北村匠海)。
まぁ、観る前から予想できるような物語で、実際、それを裏切ることはないので、期待どおりといえば期待どおり。
阿部寛演じるヤスの、馬鹿で一本気な父親は「ザ・昭和のオヤジ」であり、そのザ・オヤジ描写が面白い。
ただし、出だしはあまりに漫画的で、これ、大丈夫か?と思わなくもなかったですが。
泣かせと笑い、それにダルダルのシーンが交互に来るので、肩ひじ張らずに楽しめました。
気になったのは、30年近い年月の物語なのですが、若い頃のヤスや周囲の人々がはじめからオッサン、オバサンなので、ちょっとねぇって感じでした。
先にキャストから言うと、阿部寛さんは最近主演をやりすぎて、どうしても似てしまう。不器用で真っ直ぐな姿は好演なのだが、どうも濃淡を感じにくい。北村匠海さんも無理があったりして、キャストのポテンシャルを活かしきれていない気がする。
作品は何度もリメイクされているだけあり、複合的で見ごたえがある。その一方で駆け足な感じは否めない。観たいパートに余韻が少なく、時代を駆ける分の取捨選択が進みすぎた気がする。だが、個人的には、リメイクの意義を感じさせるパートが多かったことによる感動はあった。
全体的にベタッとした描写が多い監督。今回はそれがプラスに働いていた部分も多かった。時代を超える部分に自由度を感じたことから、現代風にアレンジが効いていたと思う。公開されてからどんな評価を受けるか楽しみだ。