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「ウルトラセブン」55周年記念 4K特別上映評論(5)
エピソードセレクトにはそれぞれ意見があると思いますが、私は全て見てストーリーは頭に入った上なので満足です。55年前に作られた、基本子供向けの作品ながら本当に見応えあり、訴えるものあり、血湧き肉躍る部分ありよくできた作品でした。最終話の隊員達がダンの事を理解して、別れを思う気持ちはマジで泣きそうになりました。せめて1時間尺のドラマだったらもっと良くなったかも。
最後にやはり冬木さんの音楽は無くては語れないほどこの劇伴は重要なファクターでした。
最終回は仕方がないですけど、ウルトラスラッガーしか必殺技が出ないとは。
一番びっくりしたのは、アンヌ隊員(ひし美ゆり子さん)が、ショートヘアのイメージしか無かったのに、最終回ではロングヘア―だった事でした。
4K上映で鑑賞。
ウルトラシリーズの中でも、洗練されたSF設定と強いメッセージ性によって今尚高い人気を誇る「ウルトラセブン」。
何話かを摘み食い程度にしか観たことがなく、今回セレクトされたエピソードは全て観たことがありませんでした。
なので、この機会はとても嬉しかったです。
○宇宙囚人303
宇宙の通り魔との攻防戦がスリリングでした。ウルトラホーク1号の空中ドッキング・シーンに手に汗握りました。
○超兵器R1号
「血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ」…
冷戦時の軍拡競争をモチーフにした物語なのに、現実に戦争が起こっている今観ても全く色褪せないメッセージ性に戦慄しました。放送から55年を経ても尚、人類は全く変わっていないのかと考えたら、いつの間にか泣いてしまっていました。
○盗まれたウルトラ・アイ
宇宙人でありながら地球を守ろうとするダンと、地球で生き続けることを拒否するマヤの対比が胸に迫って来ました。
侵略したいと思われる星にならないとな…
○史上最大の侵略(前・後編)
戦いのダメージが蓄積し、命の危機に瀕したセブンが、ゴース星人の侵略に最後の力を振り絞って立ち向かう…
光線もまともに撃てず、ふらふらになりながらアイスラッガーを武器に戦う姿を応援せずにはいられませんでした。
愛する地球人のために命をかけたセブンの想いを胸に、地球防衛の決意を新たにしたウルトラ警備隊の面々…
最終回に相応しい胸熱の展開に心震えました。
宇宙人であるにも関わらず、地球とそこに住む地球人を深く愛し、自らの危険をかえりみずに数多の侵略者と戦ってくれたウルトラセブン。時に裏切られ、時に傷つくことがあっても、決して我々を見限ることの無かった彼の強さには、学ぶべきことがたくさんあるように思いました。
セブンが現在の地球を見たらどう感じるだろうと、ふと考えてしまいました。「今でも地球人を愛してくれるだろうか?」と…。セブンにまで見限られたら、それこそ我々は終わりなのかも…。そうならないように、頑張っていかねば…
ウルトラセブンのエピソードから5話が選ばれて上映されんの。「なんで、この5話?」感もなくはないけど、どのエピソードもまあまあ面白いからいいんだよね。
オープニングのキャスト観てたらキリヤマ隊長が先頭で、役者の格として中山昭二さんが上だったのかなと思ったよ。
《宇宙囚人303》
ホラーっぽいの。怪獣の姿は一部しか見せずに、どんどん人間が殺られていっちゃうっていう。
いざ現れた怪獣はそんなに恐そうでもないのが肩透かしなんだけど。
セブンがやっつけて、最後にダンが『正義は一つだ』って断言するんだけど、この辺が、大きな物語がまだ生きていた時代の話だと思ったよ。今だと『悪にも悪の事情がある』みたいな話の方が多いしね。
《超兵器R1号》
核開発競争がモチーフの話だね。
ダンの『血を吐きながら続ける、悲しいマラソンですよ』という言葉や、アンヌの『人類はそんなに愚かなんでしょうか』という言葉でR2号の開発を止めるってラストで、めでたし、めでたし……って、そんなわけねえだろ!と思ったな。
これ人類は『生物はいない』って前提でギエロン星をR1で爆破してんだよね。『そしたら生物いました!』って話で、ゴメンで済む話じゃないんだよ。本気でお詫びすんなら地球を爆破しないと。
それでギエロン星人が地球を攻めてくるんだけど、セブンがやっつけちゃうっていう。ひどいよね。全部悪いの地球人じゃん。
それで『生物はいない』って宣言した科学者が『私はギエロン星人を憎む気にはなれません』って言うんだけど、そうじゃなくて土下座して謝れって。『万死に値することをしてしまった』って話だろ。
この辺の都合の良さがセブンが作られた時代っぽくて良いなと思いました。
一方で、R1という強い兵器を持った強い相手には弱者は蹂躙されてしまい、文句も言えない。実はR1を持つことには正当性があるのではというテーマと真逆のことも感じたな。
《盗まれたウルトラ・アイ》
地球征服を企むマゼラン星人がウルトラ・アイを盗み『任務完了、迎えをよこせ』と打電するんだけど、マゼラン星の人々はウルトラ・アイを盗んだマゼラン星人もろとも地球を破壊することに決めたっていう酷い話だね。それを聞いたマゼラン星人はウルトラ・アイを返してくれる。
ウルトラセブンの時代は、まだ、権力というかでっかい力を持ったものを信じてない感じなんだな。
《史上最大の侵略》(前編)(後編)
ウルトラセブンの最終回はいつも号泣するんだけど、今回は比較的落ち着いて観たよ。
これ展開と演出がすごいんだよね。だから号泣させられるっていう。今回はシーケンスをけっこう覚えてたから耐えられた。
『もう一回、変身したら死ぬぞ』と言われているのに、セブンは変身してしまう。仲間を守るためなんだよね。炎に包まれたキリヤマ隊長たちを観て、救うために変身する。
診療所でレントゲン検査されそうになってダンが抜け出したシーンで、史上最大の作戦で基地中がてんやわんやになってる中でアンヌが『ダン!』って出てくるシーンもカッコいい。
そして少年に助けを求めると、少年がウルトラ警備隊に憧れてるのもいいね。
そんななか『彼だってウルトラ警備隊の一員だ。自分の命より地球を救うことを優先するはずだ』を聞いてダンの心が固まる。
そこに出てくるアンヌ。『地球人だって宇宙人だっていいじゃない』はいつ聞いてもすごい。宇宙人とか関係ないんだよ。
戦うセブンを見て『ウルトラセブンは、私たちのダンだったの』とアンヌが言うタイミングも凄い。タメがないんだよね。ズバッと言う。ここカッコいい。
あと、史上最大の作戦が進行していくなかで、ニューヨーク、パリといったそうそうたる大都市が地中爆弾で壊滅させられるんだよね。『でも東京のこってるからいいや』というノリがすごい。ニューヨークやパリをやられた時点でかなり人類側の負けでしょう。
そんなこんなでウルトラセブンは去っていき、今後地球はどうなるのか。帰ってきたウルトラマンが来るから大丈夫だね。