他人に恋愛感情を抱かない女性が周囲と向き合いながら自分自身を見つめる姿を描いたドラマ。30歳の蘇畑佳純は物心ついた頃から恋愛がよくわからず、いつまで経っても恋愛感情が湧かない自分に不安を覚えながらもマイペースに生きてきた。大学では音楽を志すも挫折し、現在は地元のコールセンターで苦情対応に追われる日々を送っている。妹が結婚・妊娠したこともあって母からは頻繁にプレッシャーをかけられており、ついには無断でお見合いまでセッティングされてしまう。そこで彼女が出会ったのは、結婚よりも友だち付き合いを望む男性だった。「ドライブ・マイ・カー」の三浦透子が主演を務め、中学時代の同級生を前田敦子、同僚を北村匠海、妹を伊藤万理華が演じる。「his」のアサダアツシが企画・脚本を手がけ、劇団「玉田企画」主宰の玉田真也が監督を務めた。
そばかす評論(7)
決して自己主張するタイプではない主人公にとても共感した。
この映画のように、最初から最後まで恋愛しない女性主人公の物語がもっと増えてほしい.
試写会後に監督がコメントしていた通り、話はアセクシャルの主人公の物語ではあるが、アセクシャルに限らず、多くの人に共感できる話だと思う。
恋愛や結婚が当たり前とされる世の中の価値観がもっと変われば、アセクシャルに限らず多くの人がもっと生きやすくなるのだろうな。
惜しむらくは、楽器を弾くシーンが頑張っているがどう見ても素人なので、音は吹替だろうが、構えるのも手元だけ吹き替えるか、背後から撮影するか顔のアップなどでよかったのでは。
filmmarksさんの試写会で視聴しました。
アセクシュアル、つまり、「他者に対して恋愛・性的興味を持つことがないこと(概念)」を扱った映画です。このタイプの映画はいわゆる「LGBT」系の映画に含められることが多いですが、それとは違います(違うために、LGBT+などと分けることもあります)。
他の方も書かれていましたが、結局のところ、男性に生まれようと女性に生まれようと、謎の「生きる限り、何らかの意味での恋愛からは逃れられないし、逃げようとしたり、そもそも恋愛感情を抱かないほうが変」という謎の風潮は日本には確かに存在しますが、一方でこの映画が扱うようにそのような方がいることもまた事実であり、そこをどうとるかという「考えさせるタイプ」の映画(私が分類する、いわゆる「憲法論」タイプ(ここでは幸福追求権、自己決定権等の論点)になるかな、と思います。
また、映画内で幼稚園だったか保育園だったか、シンデレラの物語の紙芝居をオリジナルストーリーにしてしまって子供からはブーイングになるし、所属している先生方かたも「ちょっとは空気読んでくださいよ」みたいなことを言われるのですが、よくよく考えると、シンデレラの物語の成立時期・発展的に、「解釈が一通りになる」わけではなく(いわゆる日本でいう「シンデレラの物語」は、グリム兄弟の功績によるものですが、物語の性質上、紀元前からどこの国でも似たり寄ったりなお話はあったし、男女の結びつきを扱う以上、宗教の影響等もあり、各国で微妙に結末は違っていた)、その部分も、日本ではそうはいっても、「幼稚園や保育園児にそんなに難しい話をしてもわかるわけがない」ので、「一般的な解釈に基づく一般的なお話」しかしないのが暗黙の了解ですが、よくよく考えるとそれは「幼稚園や保育園における暗黙の了解にすぎず、明確なストーリーがあり動かしようのない事実とまで確立しているか」というと、そんなことはなかったりします。
主人公の方のこの「個人的な思い」の伝え方が「他人よがり」ではなく自発的なものであったこと、つまり換言すれば、「主人公の考えるところから、このような論点があることを見抜く必要がある」、さらには当然のこととして「一方的な思想の押し付け」がないことも高く評価できるかなというところです。
なお、「そばかす」というタイトルですが、いわゆる「そばかす」(雀斑)が映画のテーマとなっているかどうかは…。見てのお楽しみです。
主人公の方の名前は「蘇畑佳純(そばた・かすみ)さん」ですが、さてさて…。
採点は下記のようにしています。
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(減点なし/音声がやや小さい?)
・ オンライン試写会なので、今書き込んでいるこのPCで視聴しましたが、同じ音声ボリューム設定なのに妙に音声が小さいな、という印象はあります(同じ条件でyoutubeその他のサイトでは大音量になる)。ただ、この点も映画館のそれとオンライン試写会のそれとが同じ条件とは限らないので、一応指摘はしますが減点なしの扱いです。
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(個人的メモ) 2022年の個人的に評価の高い映画(12月7日時点/大阪市放映基準)
・ ミューズは溺れない(憲法論/表現の自由や思想良心の自由等)
・ 消えない虹(刑法/少年法等)
------ ↑この2つが一歩抜ける形 ---
・ マイスモールランド(行政法)
・ オカムロさん(憲法論、男女同権思想)
------ ↑この2つもさらに抜ける形 ---
・ ほか順不同 ベルファスト/パラレル・マザーズ/声 姿なき犯罪者 など
「僕の好きな女の子」が本当に好きな映画だから楽しみにしてて、もう少しコメディー寄りになるのかなと思ってたけど、丁寧に描くことに振り切った印象。コメディーリリーフが三宅弘城というね。さらに、劇団っぽさはより希薄になったというか、射程が広がっているなと思います。映画監督としての玉田真也さんの成長が見られる作品でした。
家族にお見合いを設定させられるって本当にきついよなと思うし、恋愛至上主義の世の中は良くないなと思います。喧嘩の後の彼女たちの関係性はどうなったのかというところは、ある程度の解答が欲しいなと思いましたが、主人公が自分を多様性の一部だからと割り切るのではなく、自分は自分という自覚が芽生えるラストは非常に良かったです。
三浦透子の瑞々しさ。前田敦子と伊藤万理華の感情の起伏が物語に大きな波を呼び込んでいました。
戸惑いながら自分を肯定していく三浦透子さんの演技が良かったです。あんな複雑な表情が出来るなんて!
(紙芝居「シンデレラ」をオリジナルストーリーにしてしまう場面が特に好き。王子様と結婚したいかどうかも、人それぞれですよね。。)