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MONOS 猿と呼ばれし者たち評論(4)
メッセンジャーと呼ばれる監督者がいなくなり、ハメを外してパーティーをする中、銃を乱射して借り物の牛を殺してしまい、リーダーが死んだたことでチームが崩れて行くストーリー。
隠密行動のゲリラなのに大騒ぎをしたりみんなで遊んだりという目立つ行動や、油断や詰めの甘さは子供たる所以ということですね。
そして油断は子供であるMONOSと接する博士やメッセンジャーにも言えること…。
口裏を合わせるのは仲間意識か恐怖か何も考えていないのかという中で、崩れて行く関係性や、ストーリーは語るよりみせるものとも言わんともばかりに展開していく感じは良かったけれど…。
主役はランボー?
そう思って観ていたのなら何とか納得も行くかも知れないけれど、イマイチ締まらなかった。
起承転結はっきりしてないと嫌な人には不向き
しかし、『MONOS』の舞台はゴツゴツとした岩山がある山岳地帯と、主な背景になるジャングルだ。物語の設定とは裏腹に美しく濃厚な緑に覆われた世界は、見るからにじめじめしていて、あちこちでアブのようなものが飛び交っている。場所によってはビニールを頭から被らないと寝られない。そこを絶妙なサウンドエフェクトがカバーしていく。夜のしじまから聞こえてくる虫の音、木の葉を揺らす風、川のせせらぎと水中で水が渦巻く音etc。また、ティンパニーやガラス瓶に息を吹き込む音を合成したという"映画音楽"が、それら効果音と見事に一体化して、観客をジャングルのど真ん中へ引き込んでいく。
戦争の残酷を少年たちの肉体で表現した本作は、衝撃的な映像と音によって脳裏に焼き付く、体感するサバイバルドラマだ。
映画の根幹をなすところが...
1954年に発表された、イギリス出身のノーベル賞作家、ウィリアム・ゴールディングによる『蠅の王』は、H・G・ウェルズとともにサイエンス・フィクションの父として知られるジュール・ヴェルヌの『十五少年漂流記』を架空の未来へと移し、少年たちの性悪説を表した描写がヴェルヌの小説の悲劇版として知られ、そのタイトルからの『蠅の王』は、聖書に登場する悪魔のことを意味し、この映画『MONOS 猿と呼ばれし者たち』の作中、蠅が群がる豚の生首でシンボライズもしている。
全員がヤング・アダルトと呼ばれる、むしろもう少し若いのかも知れないけれど、彼らは戦闘員である前に若い男女であり、遊びもしたければ恋愛もする。
とにかく映像が綺麗な事とフィルムスコアがそれをしっかりとサポートしていて見る分には良いのかもしれないけれどもそれをスレッドのぶつ切り感と繋がりの無さに加え、人物像と関係の説明不足なのがすんなりと鈍感な頭には全然響いては来なかった。
それとゲリラの収入源の身代金要求の為に人質になっているアメリカ人女性のシチュエーションがいまいちどころか途中までゲリラとの関係のあるようでないような感じやモキュメンタリー風な質感で描いている映画にとっては彼女がただ一人のコケージョンだったためか役が浮いてしまっている。
『地獄の黙示録』での儀式としての牛の屠殺シーンを思い出すほど、その徹底したモキュメンタリーにこだわったところが、牛が死んでしまう様子を精巧なギミックで描き、また人が簡単に撃ち殺されてしまうところなどが、リアリティを追い求めた結果の表れでもあるように映る。
41才になるアレハンドロ・ランデス監督は、彼らが誰のために戦っているのかは問題ではない言い、「コロンビアは何十年にもわたって戦争で荒廃してきました。私は、そのような暴力が左からも右からも起こっているのを見てきました。私の祖父が世界で一番好きな場所である彼の農場は、彼が生涯にわたって購入するために働いていましたが、最も恐ろしいコロンビア自衛軍連合(AUC)の本部になり、家族の一部がゲリラに誘拐されました。」とガーディアンに語っていた。(2019年の記事より)
ラストの締めくくり方は1963年と1990年に製作された『蠅の王』の映画で見られたようなオマージュ感の代表選手のような終わり方になっている。