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ワイルドバンチ評論(15)
ペキンパーは文明の波にのまれる西部の男達を哀愁漂う雰囲気で描き出すが、その演出の背景には彼の前衛的な試みが満載であることも興味深い。
ガンアクションを主軸に置いた西部劇だが、そこには文明に取り残される彼らを際立たせる細やかな気遣いがみてとれる。
例えば、今までにこの作品ほど子供が出てくる西部劇があっただろうか。
どの場面でも現れる子供達はそのまま新たな文明、世代の息吹を示唆させる。 子供がパイクに致命的な一撃を与える場面も見逃せない。
ダイナミズムと繊細さ、深い洞察力を有する最後の西部劇だ。
西部劇というと、かっこいい白人と悪役のインディアンという、嫌なイメージしかありませんでしたが、ワイルドバンチはさすがニューシネマだけあって、そんな単純なものではありませんでした。
戦争や争いの中には、善も悪もありません。その中には、ただ殺戮と無秩序があるだけです。西部開拓時代は、何でもありの無秩序だったから、インディアンから広大な領地を横取りできたのでしょう。
だけどこの作品は、アウトローが権力に向かって、銃をぶっ放します。まるで、西部劇という既存権力を批判している様に見えました。
これぞラストガンマンたち。腰にはまったままのコルトシングルアクションアーミーが静かに物語る。
最後の銃撃戦の直前、死地に向かって行進していく四人の姿は、何度観てもかっこ良い。それこそ、西部的ならず者の、滅び行く姿を最も美しく表現しているように思えた。そして、このシーンがあるからこそ、ラストの銃撃戦が最初の銃撃戦とは異なり、単なるヴァイオレンス描写におわっていない、と感じる事ができたようにも思う。
それにしても、全編にわたって描写のきれいな作品だった。黄色い土と、きれいな水色の空と、真っ白な雲の絶妙なバランスが、この乾燥した世界をうまく表現してますね。いやぁ、本当に美しい…。