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男はつらいよ 寅次郎相合い傘評論(16)
1975年製作。
倍賞千恵子がやっぱりキレイ。上映時は34才。
マドンナは浅丘ルリ子。2度目の登場。上映時は35才。石坂浩二と結婚して4年目。
かっこいい。
ゲストは船越英二。上映時は52才。とても人の好さそうな男を演じる。
出社して、このまま消えてしまいたいと思って蒸発する会社重役である船越英二と旅先で出会った寅さんは一緒に旅をすることになる。その後、函館のラーメン屋ではリリー(浅丘ルリ子)とも2年ぶりに偶然再会することになる。
山田洋次監督はこういう偶然を多用する人だと思う。
その手法は現在も使われていて「家族はつらいよ」シリーズでも未だに見られることであると思う。
船越英二が、昔好きだったが今は人妻になっている女性に会うために小樽に向かう。寅さんとリリーも同行する。
船越英二がその女性と再会するシーンはちょっと胸が熱くなってしまった。
その後寅さんとリリーはケンカ別れに。船越英二も自宅に帰ることに。
船越英二が寅屋にお礼のメロンを持参するのだが、そのメロンのことで有名な「メロン事件」が起こってしまう。
さくらと博が「リリーさんとお兄ちゃんが結婚したらなんてステキなことだろう」と相談しているところにリリーが現れて「私、寅さんと結婚してもかまわないわ」
そしてそれを聞いた寅次郎は・・・
上映時間は91分。
満足度は5点満点で5点☆☆☆☆☆です。
「男はつらいよ」で久しぶりに笑ったし、面白かった作品であると思う。
兵頭からもらったメロンを切ったときに寅さんを数に入れてなかったところで家族の小さな諍いが始まるが、リリーのタンカを切るところは見事。まぁ、普通ならそこまで怒るべき問題じゃないのに、よほど見捨てられるのが怖かったのか、寅さんの隠れた一面を見ることになった。リリーにしても、寅さんの子供っぽいところを許容してる雰囲気なのがいい。
冗談っぽかったけど結婚する気のあったリリー。妹のさくらが二人を結婚させようとプロポーズしてしまったみたいな雰囲気。この寅さんとリリーの意地の張り合いみたいなところもいいし、「お互い渡り鳥みたいなもんだ」とか「傷ついた美しい渡り鳥がちょっと休んでいただけ」って・・・第10作『夢枕』に次いで上手くいきそうだったのに。浅丘ルリ子の恥じらいながら「いいよ」と言うシーンが素敵。惚れてまうがな・・・48作の中では一番好きな作品。
リリイ2回目で前よりぐっと息が合っていた。とてもよかった。船越英二もよかった。3人で雑魚寝をしているのはびっくりした。
リリイが結婚をしてくれると、さくらがテンションをあげて慌てて寅に言うのだが、あそこはじっくり行くべきだっただろう。寅がびっくりして照れて断ってしまった。切ない場面だった。
蒸気機関車が2作前くらいから映らなくなった。冒頭の海賊船の寸劇で、さくらが長い髪を下ろしていてドキドキするほど魅力的だった。本編では常にきつく縛り上げていて、華やかさを消している。さくらが本気を出したらどんなマドンナもかすんでしまうから仕方がない。
マドンナ役は浅丘ルリ子。シリーズ屈指の名作である。