中国の登山隊がチョモランマ(エベレスト)登頂に挑む姿を描いた、実話ベースによる山岳アドベンチャー大作。1960年、ファン・ウージョウ率いる3人の中国登山隊は、無謀とも言われた北稜からのチョモランマ登頂に世界で初めて成功する。しかし、その途上、雪崩による滑落の危機に遭遇した仲間を救うため、ファンは証拠となる映像を記録したカメラを失っていた。そのために登山隊の偉業は国際社会で認められることはなかった。それから15年後、冬の時代を明けた中国が再びチョモランマに再挑戦することになり、くすぶっていたファンは第2次登山隊を結成し、再び世界の最高峰を目指すことになる。主人公ファン・ウージョウ役には「戦狼
ウルフ・オブ・ウォー」がアジアで大ヒットを記録したウー・ジン。ヒロインにはハリウッドでも広く活躍するチャン・ツィイー。現在と過去をつなぐ重要なクライマー役でジャッキー・チェンも出演。香港のヒットメーカー、ツイ・ハークがプロデューサーを務め、「ドラゴン・ブレイド」のダニエル・リーがメガホンをとるなど、中華圏を代表するスタッフ&キャストが集った。
クライマーズ評論(2)
オープニングクレジットでまるで人民解放軍の旗のような映画会社のロゴを見た瞬間、観るのを諦めた気分にさせられた。冷や水をかぶせられるとはこの事。
カラビナにわざと強度設定がされるのが、良くわかる冒頭の登山アクション・エンターテイメントが始まり、ピッケルを幾度となく雪面に突き刺すシーン... 大写しになる雪... 質感が何故かサラサラ?
この映画を見た多くの人が”案外面白かった。”... と? そりゃそうだ。何故ってプロバガンダ映画ですもの何か? スタローンの「クリフハンガー」とどちらがお好みでしたか?と悪態も吐きたくなる。
”世界に中国人の強さを見せてやれ!” 映画「クライマーズ」の冒頭のシーンにおける登山チームのキャプテンの最後の言葉... 共産党が政権を握って70周年を迎える週にリリースされたダニエル・リー・ヤンコンの1960年と1975年の中国エベレスト遠征の架空の物語は、不思議なことに、しばしば個人的センチメンタリズムが社会体制全体の利益の邪魔をすることを認める国家主義的光景でもある。
ー2019年10月1日付け。South China Morning Postの一部抜粋。1903年に創刊された香港発の英字新聞.. 誕生から政庁側のご用達と揶揄され、現在ではアリババグループの傘下に入っているので、その体質は変わらない。しかし、この新聞でさえギリギリの線で批判めいた記事を載せるのは何故?... と解釈すると意味が分かるかもしれない。
ジャッキーやチャンさんは、こういう国策映画に出る必要があるのか? 保身のためか? 後は言いたくない。そんな映画。
ただ一言、アダルトアニメ上がりの配給会社といつまでも付きまとう... そんな映画ばかり、安かろうと買値を叩いたような映画のオンパレード・・・・・AMGエンタテインメント... この配給元の映画のうたい文句や訴求力があり過ぎるほどあり過ぎる。-商業映画の最たるものか?裏返しか?
チョモランマ登頂という目的のために、まるでクンフー映画のような修行を行い、一見地味に映りそうなクライミング描写も、ワイヤーアクションや小道具を使って盛り上げているあたりが、なんとも中国らしい。
今や漢気あふれる役をやらせたら世界一なのでは?と思わせるウー・ジンは、本作でも実に勇猛果敢で単純明快な主人公を熱演。彼主演の映画にはどうしても国威発揚のイメージが付いてしまうものの、実際のチョモランマ登頂自体が、国の名誉とプライドをかけた一大プロジェクトだったことを鑑みれば、それも当然といえるかも。
そのウー・ジンとチャン・ツィイーをメインとするロマンス描写は、ベタすぎてクドさを感じなくもないが、そこも中国映画らしいということで許容するとしよう。
ゲスト出演のジャッキーがどこで出るかはお楽しみに。