「愛がなんだ」の今泉力哉監督が稲垣吾郎を主演に迎え、オリジナル脚本で撮りあげたラブストーリー。フリーライターの市川茂巳は、編集者である妻・紗衣が担当している人気若手作家と浮気していることに気づいていたが、それを妻に言い出すことができずにいた。その一方で、茂巳は浮気を知った時に自身の中に芽生えたある感情についても悩んでいた。そんなある日、文学賞の授賞式で高校生作家・久保留亜に出会った市川は、彼女の受賞作「ラ・フランス」の内容に惹かれ、その小説にモデルがいるのなら会わせてほしいと話す。市川の妻・紗衣を中村ゆり、高校生作家・久保を玉城ティナ、市川の友人・有坂正嗣を若葉竜也、有坂の妻・ゆきのを志田未来、紗衣の浮気相手・荒川円を佐々木詩音が演じる。第35回東京国際映画祭のコンペティション部門に出品され、観客賞を受賞した。
窓辺にて評論(8)
今泉節が炸裂しつつ……
公開前に何を書いてもネタバレになりそうで、あまり書けませんが。
映画として楽しかったので、超おすすめ。
吾郎ちゃんが吾郎ちゃんすぎて、始終くすくす笑ってしまいました。
今泉監督が吾郎ちゃんへの愛を拗らせたような、「素の稲垣吾郎」を見せようと分析しまくった出来上がり。
キャラたちの感情の見せ方、反応、余白ある無言の演技など、そういった「余白」部分をじんわりかみしめるような作品でした。
元々今泉作品が大好きですが、私の中では「街の上で」に匹敵する程好みの映画でした。
まあ、キャスト的にも街の上で感満載で、おやっ?と期待してしまう場面もあり。
主人公は吾郎ちゃんを当て書きしているからか、演技?と思うほど自然な茂巳さんが存在していました。
私の中で吾郎ちゃん、玉城ティナちゃんベストかな。
若葉竜也くん、倉悠貴くん、穂志もえかちゃんは最高に可愛かった。
小説がモチーフになっているだけに、台詞や語りが非常に多い作品ですが、クスッとする事柄が満載で、一見地味で長い映画ですが、ずっと楽しむことができました。
個人的には、バカみたく騒ぎ立てる場面が一切無いので、かなり好きな部類の映画です。
主演の稲垣吾郎さんがまさにはまり役にような気がしました。淡々と飄々と─素晴らしい!演技なのかどうか分かりませんが、無理のないナチュラルな雰囲気が作品自体を輝かせていたような印象です。