50% 想看,共 122
評論 | 分享
半魚人の逆襲 プロット アメリカ 01月01日 1900 台灣上映
アマゾン プロット フィンランド・ブラジル合作 01月25日 1992 台灣上映
百万弗の人魚 プロット アメリカ 04月15日 1953 台灣上映
ふたりの人魚 プロット 中国・ドイツ・日本合作 04月28日 2001 台灣上映
魚のスープ プロット イタリア・フランス合作 02月11日 1993 台灣上映
ランダウン ロッキング・ザ・アマゾン プロット アメリカ 05月29日 2004 台灣上映
大アマゾンの半魚人評論(2)
半魚人(ギルマン)の造形は現代の目で見ても素晴らしい。
この造形で華麗な水中遊泳もやってのけるから驚かされる。
特撮として興味深いだけでなく、人間の女性に恋した亜人の悲劇として見ても切なかった。
最期に何度も銃で撃たれ、傷ついたギルマンが沈んでいくショットはなんとも物悲しい。
デルトロがシェイプ・オブ・ウォーターを作りたくなるのも頷ける。
1950年年代はSF映画が盛んでした
ざっと思いだすだけで以下のような珠玉の名作があります
地球の静止する日は1951年、
遊星よりの物体Xも1951年
宇宙戦争は1953年、
禁断の惑星は1956年、
ボディスナッチャーも1956年
蝿男の恐怖は1958年、
どれもこれもSFファンであるなら絶対観ておかなければならない作品ばかり
基本中の基本と言って良い
本作もこの一角に連なる名作です
つまりSFファンならマストです
まず半魚人というモンスターを登場させる理屈付けが、思いの外SF風味が強く、アマゾンの奥地には謎の怪物がいるのだというような雑な作りでないのが嬉しい
そしてもちろんクリーチャーの造形が圧倒的に素晴らしい
そもそもモンスターにクリーチャーという呼び方が付いたのは本作からでは無いでしょうか?
その造形はウルトラQ やウルトラマンで独創的な怪獣をデザインした成田亨の作品にも匹敵、いや彼が凌駕しようとした目標であったかも知れない
それ程の永遠の生命を持つ造形です
この半魚人をデザインしたのは女性デザイナーのミリセント・パトリック
製作当時44歳、イタリア貴族の末裔で世が世なら男爵ご令嬢という
メイキングを観るとなかなかの美貌です
社交性もありそうで、パブリシティーでも活躍したといいます
美術学校卒、ディズニーでアニメーターをしていたとか
戦後にユニバーサルの美術部門に移籍したとのこと
つまり大変に実力があったということだと思います
どおりでメイキングに彼女が半魚人を描いている映像がありましたが、そこに写るイラストはなかなかの画力でした
翌年の「宇宙水爆戦」のメタルーナミュータント、エグゼターのデザインもノンクレジットながら彼女の作品とのこと
このミュータントのビジュアルもSF界では超有名なもので、本作の半魚人と併せて、クリーチャーの金字塔を二つながらに彼女が描いているのです
そしてそのデザイン画を忠実に造形したユニバーサルの美術陣の実力の凄さ!
いくらデザイン画が優れていても、実物の製作が適当な仕事なら台無しです
それが見事にデザイン画そのものどおりに出来ているのです
当然スーツアクター身体のサイズに合わせて
それも水中演技者用と陸上撮影演技者用の二つ
微妙に違っているらしいですが、観ている限り分かりません
物語は基本オペラ座の怪人です
美女に恋した醜い怪人が彼女を自分の神殿に攫うという基本構造は同じです
水面を泳ぐ彼女を、半魚人が水中で上を向いて見上げつつ彼女の泳ぎに合わせて泳ぐ姿は、離れていても、美女と野獣の二人だけの舞踏会のようでもあります
ヒロインは割合と知的そうな顔付きながら、大きく突きだした胸、大きく張った腰、雄大な尻を持つ女性です
この肉感的なヒロインが、当時にしては露出の多い水着を着て泳ぐシーンは、エロチックですらあります
監督は意図的にそうしたのだろうと思います
半魚人との二人だけ舞踏会は、セックスの暗喩でもあるのだと思います
醜い男の美女への満たされない憧れが、半魚人という怪人の行動に見事に投影されています
そして隠されたテーマ性も先進的です
アマゾンの楽園であるブラックラグーンが、人間により環境破壊されたことへの半魚人の抗議でもあるのです
SFファンなら絶対に観ていなければなりません