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メトレス評論(1)
自由な愛人とは結婚を望まない。それを大学教授である三田村邦彦に伝えたときにはすでに彼のアラスカ行きの決定や家庭崩壊があった。「妻とは離婚が決まったから結婚してくれ」などという言葉も手遅れだった。岡部(石橋保)が言い寄ってきても、結婚という言葉を聞いたおかげで引いてしまう女心。自分の場所を確保したいがために、三田村からの求婚も退けてしまうのだ。
そういう心理描写や愛人の葛藤などは演技によって心に響いてくるものの、「自由に生きたいのよ」といったそれだけの主張をするための作品だったとは、渡辺淳一が自らの不倫を正当化しようとしているにすぎないと思われます。最後に誰かが死ぬとか、そのくらいの衝撃を与えてほしいものだ。