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ウィッチマウンテン 地図から消された山評論(12)
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訳あって地球にやってきた宇宙人兄妹が、タクシードライバーとともに奪われたUFOを取り返すために米軍の秘密基地のあるウィッチマウンテンを目指すというお話。
一見SFサスペンス風の題材だったが、ディズニー製作であることからもわかるように、夏休みシーズンらしい子供も楽しめるファミリー向け映画でした。
(中略)
まさにディズニー・チャンネルでも観てるかのような、ゆるーい雰囲気だなぁと思いながら観ていたら、1975年製作の『星の国から来た仲間』(ジョン・ハフ監督)という古典的映画のリメイクなんだそうだ。
どおりでどこか懐かしい雰囲気を漂わせているわけだ。ディズニーお得意のファミリー向け映画として、あえてチープさを残して再映画化したわけね。
だからまあ、突っ込みどころは結構満載。
超能力で大金を強奪した宇宙人兄妹は車の運転もできるのに、あえてタクシードライバーに運転をお願いするし、敵に追われる切羽詰まった状況でも車に乗るときはちゃんとシートベルトを締めて出発します。彼らを追う国防省の連中はラスベガス中の監視カメラを駆使して、あっという間に街中から二人を見つけられたのに、なぜか見晴らしのいい荒野ではタクシーを見失う。
ここまで触れなかったけど、宇宙人兄妹は別の宇宙人暗殺者からも追われていたりする。
この悪者がまた、ターミネーターな任務を負った姿を消せないプレデターって感じで、既視感アリアリで微笑ましい。
“Race to Witch Mountain”(ウィッチマウンテンへのレース)という原題のわりに、いざウィッチマウンテンへ行くぞ!ってなってからはあっという間に着いちゃったのもご愛敬。
ひとっこひとり近づけない厳重な警備のはずの秘密基地も、なんかあっけなく潜り込めたぞ(笑)。
そんなこんなでサスペンスアクションな筋書きだけど、それを期待すると肩すかしを食らうこと必至。あくまでファミリー向けであることを肯定的に受け止めて、ほのぼのと楽しむのが吉。
そういう意味ではディズニーらしく手堅く作られていて、安心して観られる。夏休みのお子さんと親子でハラハラドキドキ楽しみたい。
と、言いたいところなんだが、そのくせ日本語吹き替え版をやっていないのは、手抜きじゃないのかねぇ。
原作はアレグサンダー・ケイの魔女の山シリーズ、そもそも児童文学だしディズニー映画ですから大人が観て文句を言うのも野暮かもしれない、あしからず感想です。
プロットとしては見せ場を先に決めてから話を創っているようで展開に合理的理由や必然性が薄いのが難点だろう。
そもそもETの兄妹セスとサラは超能力を持っている設定なのだから変に出し惜しみせず使えばよいではないか、しがないタクシー運転手に頼らなくても何とでもなると思う。宇宙船の隠し場所なども妙な博士に聞かなくともハイテク装備を持っているのだから分かりそう、もっと言えばリモコンで呼び寄せるくらいは出来そうだ。無理やりハラハラドキドキの逃亡劇に仕立てている感は拭えないし見せ場がカーチェイス程度のアクションでは物足りない。予算の都合もあったのだろうがスケール感は小さい、逃げ切ったと思わせての怪物サイフォン登場は「エイリアン2」の様でした。ウィッチマウンテン(魔女の山)をやたら強調してますがミステリアス感は皆無で単に軍の秘密研究所くらいの場所でした。それにしても地球の運命がETの兄妹に委ねられている星とはどんな共同体なのでしょう、大人の良識派はいないのでしょうかね、帰還したとしても刺客を送ってきた軍に捕まるのではないかとそちらの方が不安です。
ドウェイン・ジョンソンはジュマンジシリーズなど子供向けの冒険ファンタジーで活躍中ですが本作が先駆けなのでしょうかね。
追われる者は、地球人の少年少女に変装したサラとセスの姉弟。追っ手は、姉弟を捕獲して、異星人の秘密を解剖しようとする合衆国政府の特殊機関と彼らの母星の軍部が放った刺客のサイボーグ。姉弟の母星は、存続の危機にあり、地球の適正についてふたりは調査にきていたのでした。もしふたりが無事に帰還しなければ、地球人は危険分子と判定され、侵略されることなっていたのです。
ただ母星の軍部は強硬派で、姉弟の活動を妨害するばかりか、ふたりの抹殺まではかったのです。
そのため姉弟の乗ってきた宇宙船は、たしか強奪されて地球へ不時着。宇宙船は合衆国政府が秘密裏に収納し、極秘の基地を作り管理していたのでした。
姉弟は、宇宙船を取り戻すべく、合衆国政府によって地図から消されたウィッチマウンテンを目指します。特殊機関がふたりの捕獲を手ぐすね引いて待ち受けているのにです。
そんな無謀な宇宙人姉弟を助けるのが、タクシードライバーのジャック。彼はただのドライバーでなく、一時はプロのレーサーを目指したほどの腕前。でもマフィアのボスの運転手を務めたのが運の尽きで、足を洗ってからも、執拗にボスの運転を強要されていたのでした。
そんなジャックが一見家出風の姉弟を客として拾ったことから、姉弟を巡る大捕物に巻き込まれてしまいました。
ジャックのタクシーと追っ手のマフィアかと思いきや実は政府の特殊機関との激しいカーチェイスは、アクション映画かと思うくらいの激しさでした。何とか彼らの追及をかわしたものの、宇宙船の起動装置を回収したところで出会ってしまう刺客のサイボーグから追われてしまいます。全身が兵器のようなサイボーグからは、逃げの一手。
ジャックの卓越した運転で振り切ったかと思いきや、今度は空から追いかけてきます。 唯一安全な場所はトンネルでヤレヤレと思いきや、向こうから貨物列車が走ってくるではありませんか!この絶体絶命のピンチをどう切り抜けるのかが最大の見せ場でしたね。
まぁ何で姉弟が自分たちの乗ってきた宇宙船の奪還のためにこんなに苦労しなくちゃいかんのか、イマイチ納得していない小地蔵なので、どなたかストーリーを補完してください。
アクション映画顔負けのど派手なアクションに加えて、ユーモアもたっぷり効かせています。UFOを信じようしないジャックに姉弟が超能力を使って、驚かせたり、そんなジャックが真剣にUFOの存在を警察に説明しようとするところが滑稽でした。
また、以前客として乗せて馬鹿にしたUFO研究家のフリードマン博士に対して、ジャックの態度の変わりようも見物です。何せ本物の宇宙人姉弟を従えて、博士に地図から消されたウィッチマウンテンのありかを聞き出しにきたのですから当然ですね。
このときベガスで開催されていた宇宙博覧会に参加している参加者のUFOオタク度の凄まじいのです。博士すらなじられるほどオタッキーな連中でした。
けれども、ラストのエンディングロールでは、ジャックとフリードマン博士のコンビは、UFOオタクたちに神のように崇められる権威となっています。
さて、姉弟たちは無事に鉄壁の要塞のような秘密基地から宇宙船を奪還できるのか。ジャックとフリードマン博士の間にどんな変化があり、オタクたちに神となるのか、ぜひぜひスクリーンで確認ください。
姉弟の演技が、無機質なところもあって、宇宙人らしさがよく出ていたと思います。
かわいいしね。
お兄ちゃんの方、もっと力見せてほしかったなぁ。
続編作れそうじゃない?
侵略止められなかった設定とか、植物の再生に情報が足りなくて主人公が星によばれるとか。