「半沢直樹」シリーズなどで知られる人気作家・池井戸潤の同名小説を、竹内涼真と横浜流星の主演で映画化。父親の経営する町工場が倒産し過酷な幼少時代を過ごした山崎瑛と、大企業の御曹司だが次期社長の座を拒絶し血縁のしがらみに抗う階堂彬。同じ名前を持つ2人は運命に導かれるかのように、日本有数のメガバンクに同期入社する。人を救うバンカーになるという熱い理想を持つ山崎と、情を排して冷静に仕事をこなす階堂。正反対の信念を持つ2人は真っ向から対立し、ライバルとしてしのぎを削る。しかし山崎は、ある案件で自らの理想と信念を押し通した結果、左遷されてしまう。一方、順調に出世する階堂の前にも、親族同士の争いという試練が立ちはだかる。やがて、数千人の人生を左右する巨大な危機が到来し、山崎と階堂の人生が再び交差する。監督は「思い、思われ、ふり、ふられ」「僕等がいた」の三木孝浩。
アキラとあきら評論(7)
でも、新幹線の駅がある福山支店を左遷と言ったら、大企業の新幹線の駅も無い支店で働いている相当数な社員が泣きますよ!
私的に池井戸潤さんというだけで観なきゃってなりますし評価も高めかも知れません!
演技は悪くないですがあなた役者なの?とも思います…。
なんか軽く感じてしまいました…。
気になる方は是非観てください!
山崎が、御曹司の階堂から、おまえは育ちがいいと言われてるのはおもしろい。金持ちの息子は決して育ちがいい、性格がまっすぐとは限らないし、山崎は育ちは裕福ではなかったが、まっすぐな気持ちは純に育ってるので、この意味ではすごく納得。
この二人、たしかにそれぞれが男前で、特に女性にとってはたまらないんではないでしょうか。女性だけアンケートとって、どっちが好き?ってとってみて割合がどうなるのか興味ある。
お色気話は原作通り、ほぼ皆無な分、男前同士の確執、友情、熱意、など真っ直ぐな気持ちのぶつかり合いがぶれずにあって、感動します。融資の基礎知識がないと、細かい点はピンと来ないですが、映画鑑賞にそのあたりの知識は特に必要なく、二人の若い男前をみたければ、おすすめですね。
余談:
竹内涼真はサッカー選手目指してたらしいだけあって、体格かなりいいです。上背はある上に、かなり肩幅あるし、上半身の分厚さは並みではないです。
特に経済の話となると予備知識などが必要となり、ただでさえ通常の作品と比べると長めになってしまう面があります。
それもあってか本作では、それほど1つ1つの事象に入り込まずにエピソードをつなげていくという作りになっていました。
経済系の映画として見ると、最初の方の「日本有数のメガバンクに同期入社」における入社式のプレゼン対決の段階で、「この程度のネタで超一流メガバンクで語り継がれる伝説になれるの?」という違和感をもってしまうかもしれません。
ただ、このプレゼンの難易度を「伝説級」に上げてしまうと、一般の人が理解できなくなるという問題が生じてしまう厄介な面があります。
そのための落としどころの1つが本作なのでしょうが、最初に2人の存在を際立たせる演出としてはアリだと思います。ただ、その後も、上白石萌歌が演じる後輩が「あの伝説の…」という感じで引っ張るところは、やり過ぎな感がありました。
その他も、名言集のようなセリフにしたいという意欲は感じますが、そのぶん論理が飛んでいる強引なセリフが出るところは尺問題の絡みなのでしょうか。
また、エピソードをつなげていくような作りなので、登場人物に感情移入がしにくい面もあるかと思います。
横浜流星が竹内涼真に「お前は育ちが良いな」と、取ってつけたように言いますが、これが本作の最大の特徴なのかもしれません。「恋愛映画」のラストのような描き方をどう感じるのかによって本作の評価が分かれると思います。
ただ、竹内涼真、横浜流星、高橋海人、上白石萌歌らキャスト陣の演技は良く、経済系の話が苦手だという人に対し、少しでも経済のことを身近に感じてもらうのが本作の価値だとも考えるため、経済の話を分かりやすくするには、ある程度、本作のように「雰囲気で進める」のも正解の1つなのかもしれません。
銀行は見込みのある顧客には融資するが、見込みのない相手からは容赦なく資金を引き上げて回収に回る。そのやり方は血も涙もない場合が多く、劇中でも言われるように、「晴れの日に傘を押し付けて雨の日に取り上げる」というものである。他の顧客が預けた金を運用して利益を上げる商売である以上、損するわけには行かず、慈善事業でも宗教法人でもないので情に左右されるわけには行かない。
銀行から融資を受けるには、将来確実な利益が見込めるという証左を示す必要があり、それが不動本部長の言う「確実性」である。見込みの甘い計画には金は出せないし、いざ回収するとなると、病気の家族の治療費に貯めた個人預金までが対象となる。まさにどのような情実も跳ね返す鉄仮面ぶりが描かれている。しかし、これを突き崩すには、ビジネスライクに儲かるという見込みをデータ化して示せば良いので、どちらかと言えば組み易い相手である。
一方、血族によるいがみ合いほど悪臭がして救い難いものはなく、長年にわたって蓄積された恨みつらみは容易には解きほぐせず、ビジネスライクに儲かるというだけでは不十分なことが多い。本作では、血族の和解がキーとなる案件であり、どうやってそれを解いたのかが最大の見どころのはずである。
しかし、残念ながら、その最も肝心なところがしっかり描かれていなかったのが物足りなかった。示されていたのはビジネス的な解決法だけであり、あれだけで長年の確執が解ける理由になるとは思えない。しかもその説明はかなり雑である。ドラマ版は9回に分けて描かれているので、十分な描写ができたのかも知れないが、2時間余りの尺ではかなり無理があると思った。
子供時代のエピソードもこれだけならそれほど重要とも思えないし、入行時のシミュレーションも、粉飾を見つけただけというのでは、伝説のバトルとまで言われるのにはかなり無理がある。一方、不動本部長には最後までドライに利益だけで判断して欲しかったのに、情が分かるような話をしたのにも何だかなと首を傾げたくなった。
役者は竹内涼真の体格の良さばかりが目についた。かなり鍛えてマッチョになってるらしいが、この役にはちょっとそぐわないような気がした。横浜流星は、力を込めてセリフを言うときに声が上ずって聞こえるのが惜しかった。もっと腹に芯のある発生を心がけて欲しいと思う。タイトルに合わせたのだろうか、アキラ 100% までが出演していたのには笑った。
音楽は非常に重厚で物語の雰囲気をよく表しており、「青天を衝け」の雰囲気とよく似ていたので佐藤直紀かと思ったら別の人であった。和声の変化を少しずつずらして繋留を生んでは次々と解決するやり方は、この映画の雰囲気を良く出していたと思う。ただ、スタッフロールで流れた歌謡曲は要らなかった。演出はもっと丁寧にやるべきではなかったかと思う。
(映像5+脚本3+役者4+音楽5+演出4)×4= 80 点