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鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎評論(20)
結構、よかったです。
作中のミズキは、水木しげるさんなのかな?とか思いながら見ていました。
子どもの頃に見た鬼太郎のアニメもそうだったけれど、結構人の業とか社会の歪みとか、そういうことをテーマにしていたなぁと思い出していました。
最後のあたりでは涙が出てきて…
確かにこれが、鬼太郎の原点なのかなと思えました。
ネコ娘は、私が子どもの頃に見てた方が好きだったな。
確かに今までに無い感じだったが、期待をし過ぎたかな?と思いました。
色々な要素を盛り込みながら、まとまっていて面白かったです。
金田一耕助シリーズのように、戦後の地方で起きるサスペンス、オカルト要素、バトルアクション、弱者の犠牲の上での反映への批判など盛り盛りの割に2時間以内と見やすいです。
最後、水木は記憶がなかったのに、ゲゲ郎とその妻のところに行ったのはなぜなんでしょう?そこがよくわからなかったな。あとで考察サイト見回ってみます。
それでも「ゴジラ-1.0」よりはかなり大人向けな内容。
鬼太郎は幼い頃から大好きな数少ないアニメだった。特に好きになったのは中学生の時始まった6期。とても古いコンテンツである筈なのに今を生きる「自分」に向けて作られている感覚を持てたのが嬉しかった。
だから、鬼太郎誕生の1950年代を舞台にすると知った時は嬉しさより寂しさが勝った。期待より不安が実際だった。そもそも「鬼太郎誕生」は「墓場鬼太郎」で既にやっているし、YouTubeで無料公開されてるし、僕は4度か5度観た。十分に面白い。それを今更作り直すのは必要なことなのか?と、厄介なファンとして心配していた。
公開時期が北野武の「首」と被った上に、一応受験生ということもあって、中々「鬼太郎」を映画館で観に行く気にはならなかった。アニメ6期がアニメとして完成され過ぎていたから、それが映画になるイメージが出きないが故の不安。1時間程度の中身しかない、上質なテレビアニメにしかならないと思っていた。
気が変わったのはネットニュースだった。「謎の口コミ大ヒット」。鬼太郎が半世紀以上前のコンテンツであることを考えると信じ難かった。が、6期のクオリティの高さを考えると信じられた。
そして、観に行ったから、自分にとって「今年を代表する映画となった。
評判通りの素晴らしいストーリーだった。閉じたコミュニティで公然と儀式的に行われる人間の「本能」。そして、そこで得られる快楽を古来から連綿と受け継がれる「個人のエゴを集団の最大公約数的幸福」に代える妙技で誤魔化す。それらが日本人にとって最も卑近で残酷な例えで表現されていた。これは日本人にしか通じない気がする。『「個人」と「集団」』『「理性」と「本能」』という二つの二項対立は今の我々と1950年代を繋げてしまう恐ろしい実際だ。
これらを感覚的に観ている人に感じさせるこの映画は本当に見に行ってよかったと思わせてくれた。6期と同じようにこの映画も今の「日本」で生きる僕たちが抱える「不満」「不安」を「怒り」に昇華させてくれる最高のエンタメだった。できるだけ多くの人に観てもらいたい。ぼくはこれが観れて本当に幸せだ。
追記:映像面で目を見張るものがあった。戦闘シーンのゲゲ郎の輪郭線が異常に細い。ちょっとびっくりするくらい細い。しかもその細い線が伸び縮みし、まるで俊敏な蛇だった。とても美しかった。中々観たことのない映像な気がする。日本の古い絵から着想を得ているのだろうか。お陰でテレビでやっている良アニメに比べ若干作画に力のない本作でも戦闘シーンだけは健闘している。あの細い線で繰り広げられる妖怪バトルは中々中毒性がある。書いてるうちにもう一度見てみたくなった。