「池中玄太80キロ」シリーズをはじめ「新宿鮫」シリーズ、「点と線」など数々の名作ドラマを手がけてきたテレビ界の巨匠・石橋冠が、演出経験55年、78歳を迎えて初めて劇場映画でメガホンを握ったヒューマンドラマ。主演の竹野内豊を筆頭に、江口洋介、西田敏行、ビートたけしら豪華キャストが集った。江戸時代から約350年続く富山県の曳山まつりを題材に、根っからの仕事人間だった主人公の中原祐馬が全てを失い、かつての親友との約束を果たそうとする中で自分を見つめ直していく姿を描く。新興IT企業CEOで会社の拡大にしか興味のなかった祐馬は、元共同経営者で親友でもあった航平から無言の留守番電話が入っていることに気付き、胸騒ぎを覚えて航平の故郷の富山県・新湊を訪れる。しかし、航平は既に亡くなっており、かつて航平に対して会社から追い出すような仕打ちをした祐馬を、航平の遺族は怒りをもって出迎える。そんな中、航平の忘れ形見の少女・瞳は、祐馬にある頼みごとをする。
人生の約束評論(20)
一言で言うと"凡作"。豪華キャストでこの程度のものかと肩透かしを喰らいました。
とは言うものの、俳優さんの演技は悪くない。脚本と演出がよろしくない。
他のレビューでもある通り、亡き友の航平はそれなりに俳優さんを据えてやった方が良かったと思う。最後に顔を出して友情出演でこの人がやってたんだっていう演出があった方がね。
瞳(高橋ひかる)が父親を"あの人"と言って何故、良く思ってないのか、その辺りが描かれていない。ここを掘り下げてないから、祐馬(竹野内)が現れたときも、父性を求めてたというよりもハンサムな男性を見て異性を意識した感じになってしまって色恋テイストが濃くなって(それはそれで合ってるのかもしれないが)何かちょっと嫌悪感が出た。
最後、瞳が祐馬に抱き付くシーンはもうLOVE色が強くなってどうも…。
あと、四十町と西町がああも簡単に和解したのも説明不足。恐らく会合のシーンで武田(柄本明)が「繋がった事があるのか?」と聞かれ、「ない」と答えたのが西町の青年団に愛想つかされたんだろうと予測はできるが、それを武田がパイプ椅子にポツンと一人で座ってるシーンだけで表現するというのは、丁寧さに欠けると思う。
祭りのシーンは壮麗で祭り好きの人が観たら、「おぉ、いいねぇ、コレコレ」ってなるんだろうけど、私自身、全国でも有名な祭りのある地域に住んでるのだが、小さい頃から一切興味がなくて、このシーンでも「ふ〜ん、キレイなモンやね」って思う程度で興奮する事はなかった。
祐馬とテツ(江口)はもっとバチバチにやりあってから和解してほしかったかな。
江口洋介はチームリーダーとか何かしらの団体の長とかやらせたらホント上手いなと思う。西田敏行氏はその存在感、演技、言うに及ばずです。冒頭で重厚感がないと言ってしまいましたが、西田氏と柄本明氏のおかげで物語にいくらかは厚みはあります。
さて、新人の高橋さんですが、透明感があってキレイさと可愛さを兼ね備えた女優さんが出たなという印象です。演技も上手い方だと思う。ただ、この作品で12歳という年齢は少しムリがあるかなとも思ったが。
他、ドラマとか出てんのかな…チオビタのCMのイメージが強いけど。個人的には宮﨑あおいのようにドラマには出ずに映画とCMに絞ってやっていくのがええんじゃないかと。これからの活躍に期待します。
急成長したベンチャー企業、経営方針の相違で袂を分かつ親友の話はいかにもありそうだ。
二人の間に何があったか、肝心の友は回想シーンでも顔を見せないし多くを語らない、描かれなかったドラマは所縁の人たちの話で紡いでゆくだけだ。
まるで小説を読むように観客の想像性に委ねてストーリーが展開してゆく、芸術性は高いがドイツ表現派の映画のように難解でないところが好感が持てる。
柄本さん演じる隣町の町会長はかっての自分と同じと気づかせてくれる、友の死が無ければ会うことも無かった不思議な巡り合わせだ。熾烈な企業競争の溢れる都会と泥臭い生活感の漂う田舎の祭りを対比して何か大切なものを忘れちゃいませんかと問いかけてくる、いかにも昭和の日本人の美学かもしれない。嫌味にならないのはキャスティングの妙もあるだろう、傲慢でも繊細さを併せ持つ主人公は竹之内豊さんでなければ演じられなかったろう、忘れ形見の少女が新人なのも無垢に感じられる。江口洋介さんがまるでイチローにしか見えないのは可笑しかった、ビートたけしの刑事は「点と線」がらみの友情出演だろう、チョイ役だがおいしいところを持ってゆくのはちょっとズルい。西田さんも「池中玄太」での縁だろうテレビドラマの巨匠、石橋冠さんの映画初監督作品ということで芸達者や個性派俳優陣が脇を固めているので観ているだけでわくわくする。観終わって久々の清涼感のある力作でした。
それ以来5年ぶりの鑑賞
原作無しのオリジナルストーリー
主な舞台は富山県黒部市四十物町(あいものちょう)
ここでは山車を曳山というらしい
四十物町の曳山が財政問題で西町に譲らなければいけなくなる
旧友の葬式のため四十物町に訪れた東京の新興IT企業経営者が曳山を戻すため画策する話
宮城と岩手の県境に住む自分にとっては富山県黒部市の風土は全くの異文化で『クレイジージャーニー』を観る感覚で楽しめた
出演陣は豪華な一言
それだけで邦画ファンならそれなりに楽しめるはず
海外の作品ではなかなかこれは味わえない
BGMは白々しく感じてしまいあまり好きじゃない
主人公はあきらかに堀江貴文を連想させるが特になんの感慨もない
自分は全くの蚊帳の外だからだろう
金持ちを妬む貧困左翼でもないし経営スタイルに眉を顰める保守でもない
『大コメ騒動』にも出演した立川志の輔がちょい役で登場
演じているのは町医者だろう
立川志の輔は富山県出身
どちらの作品も舞台は富山県
北海道が舞台の映画にちょくちょく大泉洋が出しゃばって出演するがそれに似ている
ご当地映画に地元芸能人が登場すると嬉しくはある
グラビアイドル出身の小池栄子と優香が共演
感慨深い
優香は秘書役として抑えめの演技で小池栄子はちょっとオーバーな気がする
顔が新幹線とは言い得て妙である
だけど芝居はそのくらいがちょうどいい
スナックの店名が『海の女王』だったが少しインパクトがあってちょっとだけ笑えた
10数年前葛飾区の綾瀬あたりで見かけた『寿里蘭花』に比べたら遠く及ばないが
終盤地元富山県警のベテラン刑事としてビートたけしが登場
『ごくせん』の理事長役の江波杏子と同様に出ただけで場の空気をガラッと変える圧倒的な存在感
バラエティー番組ではトンチンカンなことばかり発言する言葉は悪いがはっきり言って老害だけど役者としては見事なものである
タイトルがキャッチーじゃない
インパクトがないし作品内容とのギャップを感じる
小説家や出版社ならもっと頭を捻るところだが
見終わったあとはこのタイトルでも良かったのかなと思えなくもないがなにか釈然としない
じゃなにがいいかと聞かれたら全く思い浮かばないけど
テレビドラマの演出家の巨匠が78歳にして初めての映画監督ならこのタイトルにも重みを感じるが
他の役者さんもとても自然体で安心して見ていられる。
失くしてから気づく事が多過ぎる。時には立ち止まって周りの風景を眺める事も大切。立ち止まらなければ見えない物が有る。
見終わったあと優しい気持ちになれるいい映画。
富山出身の志の輔さんや、室井さんがしっかり出てるところもにやり。
富山が舞台の「railways」(三浦友和さん主演)など、富山映画は頑張ってますね。同じ北陸人としては、うらやましいところ。
ま、友人の遺影が置かれてなかったりして、その友人っていったいどんな人?と思わせぶりなところも、考えてますね。
西田さんに、泣かされました。