真昼の決闘劇情

「シラノ・ド・ベルジュラック」のスタンリー・クレイマーが、1952年に製作した西部劇で、監督は「暴力行為」のフレッド・ジンネマン。ジョン・W・カニンガムの短編小説に基づいて「シラノ」のカール・フォアマンが脚色した。音楽の作曲と指揮はディミトリ・ティオムキン「井戸」で、主題のバラード『ハイ・ヌーン』はティオムキン作曲、ネッド・ウォシントン作詞。撮影はフロイド・クロスビーの担当。主演は「誰が為に鐘は鳴る」のゲイリー・クーパーで、トーマス・ミッチェル「風と共に去りぬ」、ロイド・ブリッジス「拳銃45」、メキシコ出身のカティ・フラドー、テレビ・スターから映画入りした新進グレイス・ケリー、オットー・クルーガー「ヴァレンチノ」、ロン・チャニイ、ヘンリー・モーガン、アイアン・マクドナルドらが助演。

真昼の決闘演員

真昼の決闘劇照

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真昼の決闘評論(13)

Ipgsxknomsh
Ipgsxknomsh
物語は言ってしまえば勧善懲悪で、そこは従来の西部劇と同じで変わらない
しかしジョンウエイン主演の西部劇とは大きく異なる
かといって、大いなる西部のようにオールドウェスタンの終末を描くものではない
荒野のならず者が幅をきかせている真っ只中の物語だ
ヒーローもいる
ゲイリークーパー演じる保安官だ
彼は劇中で実際強いのだからヒーローそのものだ

では何が違うのか?
それは町の人間だ
誰一人、窮地に立つ彼を助けないのだ
ジョンウエイン映画ならこぞって腕の立つ助太刀があつまる、それが本作では無いのだ
皆、傍観するのだ、それどころか悪者と戦う決意を固めた彼を批判するのだ、さらには実力で彼を町から追い出して悪者との戦いを回避させようとするのだ
悪者との戦いで死ぬのが怖いだけでなく、戦いが起こる事が今後の商売に障る為に、さらには彼に戦われると自分の卑怯さが決定的になるのを阻止する為だ
彼の新婚の花嫁すら平和を愛する為に戦おうとする彼を見捨てようとするのだ
つまり皆が利己的であるのだ、そこが従来の西部劇と決定的に違い、理想の姿ではなく現実の姿を反映させているところなのだ
そこが本作の持つ普遍的なテーマなのだ

これを根底において映画は構成されており、あの有名な本作の主題歌もそれに応じて従来の威勢の良いものではない

そして正午に着く汽車に乗って悪者がやってくる設定
映画の中の時間と実際の上映時間がほぼ一致されリアルタイムで物語が進行する
シーンが変わる毎に時計が映る

そうあのTVシリーズの24の原形なのだ
12時に敵が現れ戦いが始まるまで1時間半しかない、時計が写る毎に緊迫感が高まる見事な演出
12時というデッドラインがある為に元祖たる本作の方が,24以上の緊迫感をもたらしている

そして地平まで伸びる真っ直ぐなレールが度々写る
あの彼方から敵が現れるのだという圧迫感
その地平線の彼方に煙が上がり小さく機関車が見えだす
そして12時のチャイムを時計が告げた時、町に汽笛が届くのだ
なんという見事な演出だろう !

主役も脇役も皆配役演技とも申し分ない
特にゲイリークーパーの苦悩ぶりは素晴らしい演技だ
悪者の手下役にリー・ヴァン・クリーフが出演している
後に夕陽のガンマン初めマカロニウェスタンで大活躍する彼だが本作が映画初出演だそうだ

町の人々の行動は利己的で現実的だ
しかしそれは米国人自身が最も在りたくない姿だ
認めたくない姿
だからこそ、それでも戦うヒーローは 真のヒーローであり、保安官バッチを最後に捨てるところに共感が生まれ、カタルシスがあるのだ

町の人々の姿は当時ハリウッドを苦しめた赤狩りで仲間を見捨てる風潮を揶揄しているという
そのように見えても仕方ないだろう

しかし21世紀に本作を観る日本人にはまた違うメッセージにも見える

これはアメリカの国家行動パターンそのものだと
出演の保安官は米国だ、町の集会は国連だ
副保安官は同盟国、親兄弟を銃で殺されたから平和が一番、夫を助けて戦うなんて宗教的にも無理
そのようにいう妻は正に平和憲法の日本だ

このメタファの中で、アメリカは戦後戦ってきたのだ
アメリカ人の心象風景はこの映画を通して見ていたのだろうと
特にイラク戦争の時の有り様とは似ている

米中の新冷戦が始まった今日
本作は重要性を増しているのではないだろうか
Xihkmnspogs
Xihkmnspogs
時間をシンクロさせた作品と紹介されていたが、舞台劇のような雰囲気を作り出すだけで、それほど効果は感じられなかった。これは多分、結婚式を挙げたばかりという設定が良くないのだろう。それよりも町の人々が保安官とミラーとの戦いに関わりたくないということが新鮮に思えた。ラストの保安官のバッジを投げ捨てるところが素晴らしい。
Hognxskispm
Hognxskispm
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総合:70点
ストーリー: 75
キャスト: 70
演出: 65
ビジュアル: 65
音楽: 70

たった一人で今まで命懸けで平和のために尽くしてきた町に戻っても、協力者がいない。誰一人として一緒に戦おうとしない。クーパーはもう正式な保安官ではないから、自分を次の保安官に推さないから、クーパーと彼らとの問題だから町は関係ないから、クーパーのせいで利益が減って恨みがあるから、勝ち目がないから、怖いから、これから赴任する新しい保安官とならいいけど町を去る人とは戦えないから、と次々に断りの理由が出てくる。
確かに彼らの言い分は理解できるものもある。町の人々にもそれぞれ守らなければならないものがある。立場が変わればお互いの利益や目的も異なるし、やはり自分が一番可愛いというのが人間の本質だろうか。クーパーが一人出て行けば、ひょっとするとやつらもクーパーを追いかけてそのまま町を出て行くのかもしれない。だがもしやつらが町に留まってまた治安が悪化したらどうするつもりだったんだろう。
とにかくこれは辛い。クーパーも一緒に戦ってくれる仲間を当てにしていたはずだ。これほどの逆風は予想外だろう。古いアメリカ映画はたいがい正義の味方を命懸けで応援する支持者が最後の最後に出てきたりするものだ。結局一体誰が協力して戦うのだろうと思っていたが、その意味で視聴者まで裏切られる。最終的に戻ってきたとはいえ、一時はこの日結婚したばかりの嫁にすら逃げられた。本人も逃げ出したくなるのもわかる。それでも勝ち目の薄い戦いを決意するまでの辛い孤軍奮闘になる過程がよかった。

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