不死者(アンデッド)が人間に襲いかかり、その脳を食べるというホラー・コメディ。ヘムデール・フィルムが提供。同社の社長ジョン・デイリー、副社長デレク・ギブソンがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめる。製作はトム・フォックス、共同製作者はグレアム・ヘンダーソン。68年のジョージ・A・ロメロ作品Night of the Living Deadの脚本を書いたジョン・ルッソ、それにルディ・リッチ、ラッセル・スタイナーの原案に基づき、ダン・オバノンが脚色し、監督としてデビュー。撮影はジュールス・ブレンナー、音楽はマット・クリフォードが担当。アメリカでの題名はThe Return of the Living Dead。出演はクルー・ギャラガー、ジェームズ・カレンなど。
バタリアン評論(13)
グロエロあるけどもう笑うしかない
個人的にツボなのは無線で応援を呼ぶところ、思わず吹き出してしまった!
冒頭のこれは全部実話!と言い切るシャレから始まり、「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」を下敷きにした展開、ブラック・ジョークの効いたラストと、単にゾンビとおふざけするだけのクズ・ゾンビコメディとは一線を画した作品。
本作はロメロの「ナイト・オブ〜」の続編的作品なんだけど、ゾンビの基本3原則である、走らない、喋らない、考えない というお約束をあえて守らない事で笑いを生んでいます。
暗黙の了解だったゾンビ・ルールを破った元祖の作品とも言えるでしょう(マイナー系では「ナイトメア・シティ」のゾンビが走りながらマシンガン撃つのもあるが)。
原題は「リターン・オブ・ザ・リビングデッド」で邦題は「バタリアン」なのだが、バタリアンとは軍の大隊を意味し、ゾンビの大群と軍の絡むストーリーにかけたとしたら、なかなか秀逸なセンス!
オバンバ、タールマン、ハーゲンタフなどキャラ・ネーミングは好き嫌い別れそうだが、タールマンは製作側が名付けた名前で、向こうのほうがもっと沢山のゾンビ・キャラにネーミングしていた事を知ると、日本の配給会社がつけたネーミングも全然有りでしょう。
バタリアン・シリーズは全5作あるが、個人的には2は1の焼き直しで3.0、3は初のロマンス系ゾンビで2.5、同時に製作された4&5は脳を破壊しても死なないバタリアン設定を無くした、ただのC級ゾンビ映画で観る価値無しです。
なんと言うか?コメディホラーだから仕方ないと言うしかないんだけど、行動不能にするのにバラすしかないってのが大変。
焼いたら、感染が拡がるし。
無限に増殖しそう。
おまけに喋るし、知能も残ってるしで、『バタリアン』のゾンビ最強じゃないの?
従ってラストはあれしか浮かばない展開。
以前観たときは子供だったので分からなかったけど、ストーリーや演出が思いのほかちゃんとしてたし、コメディーではあるけど結構社会派で、あのラストはキューブリックの「博士の異常な愛情~」オマージュなのかなと思ったり。
まだCGのないあの時代に、タールマンの映像はホント素晴らしいし、ハリウッドの“SFX”を使った映画が一番面白かった時代の傑作の中の一本だと思う。
本作観ててあれ?っと思ったのですが、ゾンビさん英語では一回もバタリアンって呼ばれてない‼️バタリアンって名前は日本オリジナルだったんですね!いやー、ビックリ。でも不思議とゴロがいいから良い改変だと思います。
というわけでゾンビ作品界隈では何故か有名なバタリアンです。80年代おバカムービーと思わせつつ、全力疾走してくるゾンビとか、無線を使いこなすゾンビとか、最後の結末のインパクトとか、それまでのゾンビ映画の常識を覆すなかなかアイデアに溢れた作品でした。走るゾンビは「28日後・・・」が初めてかと思いきや、それより全然古いですね。
きっと80年代って新しい映画ができる度に観たこともない新しいアイデアがあったりして、ワクワクした楽しい時代だったんだろうなぁっと遠い時代に想いを馳せてみました。
でも、ロメロの「ナイト・オブ・ザ・リビングデッド」って実話だったんだ・・・アメリカならありえそう。あの80年代のアメリカならこっそり街を爆撃してそう。っとリアルに思える作品でした。