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日本のいちばん長い日(1967)評論(20)
ポツダム宣言受諾から玉音放送に至るまでの24時間が描かれていて、登場人物達(天皇、大臣、軍隊など)の終戦に対する思いがそれぞれ違い、その思いや叫びが生々しく交差し合う衝撃的な内容だった。しかも実話というのだから凄い。反戦への思いを強く感じる作品だった。
キャストも超豪華。内容だけでも文句なしの傑作だと思ったが、この超豪華俳優陣による演技合戦を観るだけでも十分すぎる価値がある。
本当に素晴らしい名優達ばかりなのだが、個人的には横浜警備隊の隊長役の天本英世の演技が衝撃的すぎた。演技だけでこれ程の衝撃を受けたのは久しぶり。鳥肌モノだった。
他には当時若手だった黒沢年男の好演が印象的だった。あと笠智衆の深みのある自然体の演技もこれまた素晴らしいと思った。
内容、演技共に神がかった作品。平和への思いが詰まっていて多くの若者が観るべき作品だと思った。
何から何まで見事としか言いようがありません
素晴らしい作品ながら、あまりにも重いテーマであり、なかなか何度も気軽に観ようとはならないかも知れません
しかし、これこそ世界最高の反戦映画だと思います
何年かごとに無性に観たくなることがあります
民族、国家として文字通り自滅する一歩手前から、日本はこのようにして救われたのです
そして本作は日本人の二つの姿を写す鏡でもあります
ひとつは、日本人は日本人らしく手続きをきちんとして幕を引こうとする姿
しかしその手続きに拘って時間を浪費した為に、もう死ななくても良い命が多数失われたのも確かです
もうひとつは、プライドというナルシズムの美学に陶酔して理性を失い自滅を求める姿
この二つの姿の二面性を日本人は持っているのです
これは八甲田山と同じです
生還した徳島隊、全滅した神田隊と同じです
大日本帝国は神田隊となり滅亡しました
その最後の長い日でも徳島隊と神田隊の二つのパターンになるのです
この史実を脚本で対立的な提示にした構造が見事です
会議、書類の手続き、スタッフ達の言動
真面目な国民性は今も変わりはありません
シンゴジラでオマージュされている通りです
大きな会社や組織なら取締役役会や経営会議など似たようなことが今日もどこかで繰り返されているでしょう
凄く既視感があります
一方、青年将校達の心情を共感し理解するという人は、今の日本にはいないでしょう
しかし実は日本人はこちらに美学を感じてしまう傾向があるのです
例えば会社の倒産、吸収合併、事業部門廃止、工場閉鎖などなどといった一大危機の時に、青年将校達が本作のようにあがき続ける姿が今も何処かの会社や組織で見ることができるはずです
その時、あなたが青年将校であるかも知れないのです
同じ激を飛ばしているかも知れません
真面目に働く一般社員、工員、協力会社の人々、取引先、そしてその家族の為に!
何よりリストラして去って行った社員達に顔向けできない!
このような青年将校達と同じ言説をあなたがしているかも知れないのです
数年前、不適正経理という言い換えで誤魔かした粉飾決算事件を起こし、倒産一歩手前まで行った超一流大企業がありました
その内部では、きっとこのような事態にあったのだと感じます
こうすることが良かれと信じて彼らは不正に手を染めていくのです
それが一番の裏切りであるにも関わらず
青年将校達がナルシズムに酔って狂気に踏み込んでいく様は、これもまた自分には既視感のあるものでした
日本人の心情に染み付いたものですから、これらはこれからも起こります
日本がいつかまた危機に陥ったとき、この二つのパターンがまた繰り返されるはずです
あなたは青年将校達のように自滅の美学を求めて足掻くのか、鈴木首相のように冷静に事態を収拾するのか
本作を観た経験が、いつの日にか活きて来るかも知れません
あなたの人生でもっとも長い一日です
そして、いつしか平和憲法を守れ!と声高に叫ぶ議員やマスコミの人々…
彼らが国体を守れと叫ぶ青年将校達に重なるように見える時代となってしまいました
狂気の様に捏造してまで自らが正しいと信じ、その美学を信奉している姿は青年将校達の亡霊が乗り移ったかのようです
それが逆に日本に戦争を呼び込もうとしている様にすら感じられるのです
序盤で述べられる、戦争を継続した時に展望される日本の悲惨な破滅が、21世紀にそこから再開されかねないのです
もしかしたら本当の日本の一番長い日はもう一度有るのかも知れません
玉音放送が流れるまでに何があったのか。
歴史を知れる。
陸軍は玉音放送を止めようとそれを奪おうとする。
陸軍にとっては負けを認めることになるから。
これまで死んでいったものに申し訳がたたないと、ただ広島、長崎に原爆が落とされ天皇の意思は固い。
日本は8月15日に全面降伏した。
ポツダム宣言の受諾である。
8月14日に何があったのか語られる。
鈴木貫太郎はすごい人と思った。
日本帝国のお葬式という言葉が残ってる。
(午前十時の映画祭にて鑑賞)
2019-132