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仁義なき戦い 頂上作戦評論(8)
「仁義なき戦い」シリーズ第4作。
Blu-rayで2回目の鑑賞。
「第二次広島抗争」の決着が描かれました。
高度経済成長が最高潮を迎える中、安定した秩序を求める世論の力が広島やくざたちを追い詰めていきました。
そして、ついに発動した広島県警の威信を懸けた“頂上作戦”。その結末がやくざたちにもたらすものとは…。
いつ果てることも無い男たちの暴力衝動は、戦後世代の若者たちが燃やす青春の荒々しさも加わり、さらなる激烈さをもってついに頂点を迎えました。
街中で繰り広げられる流血事件の数々。今まではそれに巻き込まれるしかなかった市民たちの怒りも沸点に到達し、物語は新たな局面を迎え激烈なラストに向けて加速していきました。
移り行く時代の流れは、容赦無くやくざたちにも降りかかって来ました。暴力が幅を利かせる時代が終わりを告げようとしている中、最後の花を咲かせるかのごとくに暴走し、抗争は激化しました。
権謀術数を張り巡らし、殺るか殺られるかの瀬戸際を泳ぎながら、それぞれの野望と思惑が交錯する様が一大パノラマのように展開されて秀逸の極み。
脚本の笠原和夫は本作をシリーズ最終作と位置付けていたため、終局に向けて膨大な出来事がこれでもかと詰め込まれ、なおかつこれまで以上にスピーディーに物語が編まれて行きました。さながらジェットコースター!
修羅の道に踏み込んだ者たちの最期の咆哮が迸るようでした。その熱量に圧倒され、画面に釘付けでした。
世情の移り変わりの波に呑み込まれた挙句、謀略と暴力に彩られた戦後裏面史は誠に呆気無い結末を迎え、何ら実りの無いまま幕引きとなりました。
多くの血を流し死んでいった者たちはいったい何だったのか…。そもそも俺たちは何をしていたのか…。これまでの喧騒が嘘のような虚しさが漂うラストでした。
「間尺に合わん仕事をしたのぅ…」―。雪が降り込む寒々しい裁判所の廊下で交わされる広能と武田の会話は、シリーズの総括的な意味合いが籠められていて、とても心に響き、そして刺さりました…。
前作「仁義なき戦い 代理戦争」から続く第2次広島抗争編も今作「仁義なき戦い 頂上作戦」で完結。前作と今作で、第2次広島抗争を描いた見事な2部作になっている。
前作で緊張状態だった第2次広島抗争も、いよいよ本格的な血で血を洗う抗争に発展する。前作は「仁義なき戦い」らしいエゲツない人間関係が印象的な作品だったが、今作は「仁義なき戦い」らしい血みどろの暴力が印象的な作品。激化する抗争が描かれているためバイオレンスシーンがてんこ盛り。凄まじいカメラワークと鬼気迫る音楽は圧巻で、このシリーズらしい暴力描写を思う存分に堪能することができる。
ストーリーも完璧で、前作から見事な流れで第2次広島抗争編が締め括られている。刑務所で広能と武田が会話を交わすラストシーンは、このシリーズ全体の中でもトップクラスに好きなシーン。ふたりの哀愁漂う姿が印象的な諸行無常感がなんとも切ない名シーン。
役者陣の演技も相変わらず素晴らしく、武田役の小林旭は前作に増して存在感があり特に印象的だった。