「人間の條件」「切腹」の名匠・小林正樹監督が、戦後日本の進路を決定づけたともいえる極東軍事裁判・通称「東京裁判」の記録を、膨大な映像群からまとめあげた4時間37分におよぶ歴史的ドキュメンタリー。第2次世界大戦後の昭和23年、東京・市ヶ谷にある旧陸軍省参謀本部で「極東国際軍事裁判」、俗にいう「東京裁判」が開廷。
その模様は、アメリカ国防総省(ペンタゴン)による第2次世界大戦の記録として撮影され、密かに保管されていた。50万フィートにも及んだ記録フィルムは25年後に解禁され、その中には、法廷の様子のみならず、ヨーロッパ戦線や日中戦争、太平洋戦争などの記録も収められていた。それらの膨大なフィルムを中心に、戦前のニュース映画や諸外国のフィルムも交え、小林監督のもと5年の歳月をかけて編集、製作。戦後世界の原点をひも解いていく。
1983年製作・公開。2019年には、監督補佐・脚本の小笠原清らの監修のもとで修復された4Kデジタルリマスター版が公開される。
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東京裁判評論(20)
もうひとつは玉音放送のすべてを聞くことができたこと。負けた国の元首にしては随分と偉そうな物言いではあるが、当時の天皇は絶対的な権威であったことを考えると、この文言がギリギリだったのかもしれない。
3つ目は映画館が満席であったこと。若者は見かけなかったが、敗戦の日を翌々日に控えた日にこの映画を見る人がこれほどたくさんいるというのは、戦争に対する問題意識が高まっている証左ではないかと思う。それほど現代の日本はキナ臭いのだ。
4つ目は東條英機が被告の中で最も愚かであるのが明らかだったこと。他の被告たちが尋問の意図を受け取って堂々と発言しているのに対し、東條は尋問者の揚げ足を取ったり、通訳の日本語がわかりにくいと非難したりする。どこぞの国会での暗愚の宰相が野党の質問をはぐらかしたり下品なヤジを飛ばしたりするのとそっくりである。
5つ目は、極東国際軍事裁判が極めて特殊な裁判であり、裁判自体の正当性が何に担保されるのかが争われたこと、そして裁判官が戦勝国の法律家ばかりであったことが不公平に当たらないかと法廷内で指摘されたこと。GHQによる一方的な裁判だとばかり思っていたが、法の下の平等、法の不遡及ということについての認識がはっきりしている。
6つ目は、天皇の戦争責任が否定される法廷であったこと。天皇に戦争責任がなかったことにしたかったのは、天皇の取り巻きや戦時政権ではなく、アメリカの意向であったことが解る。日本人をよく分析して、天皇という権威をそのままに置いておいたほうが日本を統治しやすいと考えた結果であるのは誰もが知っているところだが、東條英機をはじめとした軍官僚たちの中には誰ひとりとして天皇の戦争責任を積極的に否定する者はいなかったのだ。自分が助かるなら場合によっては天皇ひとりに全責任を被せようという肚だったのは明らかである。これもまた、誰ひとりとして責任を取らない自公政権とそっくりだ。
長時間の映画だが、全く退屈しなかった。それどころか、当時の人々があまりにも普通の人々であり、現在の政治家たちと大差ないことに愕然とした。まさに今の政治家たちも同じように戦争を起こすのではないかと、悪い予感に慄えてしまったのである。
4Kリマスターのおかげもあって、終戦直後の日本人や各国の人たちの表情がとてもリアルに感じられ、
新作映画を観ているような感覚。
内容の感想は、「今すべての日本人が観るべき!」という一言に尽きます。
たぶん、色々な政治信条を持っている人が、この映画を自分の主張に近づけて読み取るんだろうと思うけど、
どっちにしてもこの映画が伝えている事実をみんなが知った上で、議論するべきだと痛感しました。
それから、ナレーションの声が懐かしい感じで凄くよかった!
俳優の佐藤慶だったんですね。
初公開時は、一般に非公開だった東京裁判の映像が公になったという意味で、一定の役割を果たしました。
しかし、その後の歴史研究で、この裁判の裏側では様々な海外諸国の思惑が渦巻き、裁判の進行に関してもあまりにも不公正なやり取りが有ったことが詳らかに成ってきました。
「憲法改正」が巷の話題に成ると、ある傾いた思想の方々は、ムキになってこの映画を持ち出しますよね。その意図を理解した上で御覧に成った方が宜しいかと。
特筆すべきは佐藤慶の圧巻のナレーション。終始冷静に、しかし緊迫感を持って胸に迫るナレーションは、上映4時間半を短く感じさせるほどのパフォーマンス。
デジタルリマスターを経た滑らかな映像、膨大な量のリアルな内容、知っているようで知らなかった歴史。
憲法9条の文言が示されるタイミングは鮮やかでした。
あれほど立派な裁判を行なった戦勝国と世界は、何故今も戦争や侵略を繰り返しているのですか。